〈コラム〉タイミング法と人工授精

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本当にタイミングは合ってる?

コウノトリのコトバ-生殖医療の現場から 第7回

New Hope Fertility Center Dr. John Zhang

“不妊治療”と聞いて、多くの人がまず初めに思い浮かぶのはIVF、つまり体外受精だと思う。しかし、タイミング法や人工授精のような、より自然な治療法もあることを忘れてはいけない。これらの方法は、IVFよりはるかに身体的、精神的、また経済的にも優しいである。

タイミング法は最も自然妊娠に近い治療方法である。この方法で妊娠する秘けつは、排卵日を確実に特定した上で性交を行うということだ。男性は毎日精子を産生することができるが、女性は毎月1回しか排卵しない。またその排卵された卵は24時間以内に受精されなければいけない。そのため、この治療法では、超音波検査と血液検査で周期をモニタリングし、いつ排卵が起こるかを判断する。排卵が差し迫ってくると、カップルは性交を持つように指示される。なかなか妊娠に至らないカップルの中には、ただ、性交を行う“タイミング”が合っていない、もしくは、女性が基礎体温や排卵検査薬では排卵日を確定できないホルモンバランスを持っていることも多い。そのような場合、このタイミング法は有効である。

人工授精はタイミング法を行っても妊娠に至らない場合に行われる方法だ。性交を行う時期を特定するだけではなく、パートナーの精子を妊娠しやすい状況に調整し、医師が子宮内に注入するという方法だ。この方法ではパートナーが精液サンプルをクリニックに提供することになる。そのサンプルは、クリニックのラボ内で良好な精子だけを収集するよう調整される。調整された精子は、カテーテルという細く、柔らかい管を用いて、子宮内に直接挿入される。これは、精子が移動しなければならない距離を減少させ、妊娠率を上昇させる。

また、体外受精とは大きく違い、これらの方法では排卵誘発剤を一切使用しないよいう選択肢も可能である。なかなか妊娠でず困っているが、治療までは行いたくないカップルも多いと思うが、薬に頼らず、ただ専門家に“タイミング”を“検査”してもらうだけで悩みが解決するかもしれない。
妊娠もこれまでの人生と同じく“タイミング”が重要でありことを忘れないでほしい。

(次回は3月第4週号掲載)

Dr. John Zhang〈クリニック〉 New Hope Fertility Center 世界トップレベルのスペシャリストが集結、ライフステージに合った家族計画をサポートしている。不妊治療、体外受精を望むカップルだけでなく、将来のために卵子凍結を行いたいシングル、ドナー精子、卵子での挙児希望者、また、ドナーとして卵子提供者が利用できるクリニック。2004年の開院以来、多くの成功事例を持つ。米国内以外にロシア、メキシコ、中国にも分院を設立、運営している。
【ウェブ】www.newhopefertility.com/

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