妊娠したい女性にとっての大台は“35”

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出生前診断2~出生前診断:誰が受けるべきか?(2)~

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第37回

前回(11月7日号掲載)から、妊娠後、母親のおなかにいる赤ちゃんの染色体が正常であるかどうかを調べる出生前診断についての説明を開始しています。

特にこの数十年ほど前から、先進国において妊婦の年齢分布が変化してきました。妊娠年齢が上昇しており、このことは赤ちゃんの染色体異常のリスクも上昇させるため、高年齢の妊婦はこのリスクを認識する必要性が出てきたのです。これは、普通妊娠であっても、体外受精による妊娠であっても同様です。また、着床前診断を伴う体外受精による妊娠であったとしても、必ず出生前診断を行うように米国の医療関係者は指導します。着床前診断は結果を100%保証するものではないからです。現在可能な出生前診断は99%以上の正確さであることから、その意味では出生前診断の方が着床前診断より正確である、とも言えます。

では、一般的に、よりリスクを認識しないといけない妊娠年齢とはいくつでしょうか。

生殖の世界で語られる女性にとっての大台は“35”です。政府機関でもある米国疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)では、全米の生殖医療クリニックのに毎年、体外受精詳細の報告を義務化し、統計を取っていますが、その統計分類を35歳以下、35歳から37歳、38歳から40歳、41歳と42歳、43歳と44歳、44歳以上、としているのには意味があります。
前回も書いた通り、生殖年齢である20代でも、35歳以上と比較すると非常に低い確率ではありますが、赤ちゃんの染色体異常のリスクは存在します。このリスクは年齢を増すごとに、少しずつではありますが、確実に上がっていきます。35歳以上のグループは、多くが加齢により全く自然妊娠が不可能になってくるグループと分類されます。懐妊中の母親が最も心配する一般的な染色体異常はダウン症の存在ですが、やっと不妊の困難を乗り越え、妊娠した場合でも、この35歳以上のグループはダウン症の確率が上昇する年齢であることも認識する必要があります。
(次回=1月第2週号掲載=に続く)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】
しみず なおこ 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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