代理出産の歴史(31)コロナ禍が引き起こしたロシア代理出産大問題(8)─ロシアは外国人代理出産依頼禁止へ─

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「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第108回

代理出産は世界中で規制され始めており、特にコロナ禍によってクローズアップされたために、さらに、取り締まりに拍車がかかっています。最も影響があったのが、現在、数少ない合法とされていた国であるロシアです。現在、代理出産依頼を考えている方々のために一般では入手しにくい事実・情報を出来る限り発信しています。

前回=10月2日号掲載=までに2020年にコロナ禍が勃発後、ロシアにて代理出産から出生した赤ちゃんが代理出産依頼者である親不在で死亡した事件、そして、21年の春、ロシア議会に、外国人が代理出産を依頼することを禁止する草案が提出された後、21年6月に外国人依頼者である中国人の父親が人身売買で逮捕された、というロシアの代理出産の状況をお伝えしました。

この逮捕は、依頼者である中国人の父親、LIU JUN氏が人身売買とみなされたためでした。コロナ禍が勃発して世界中の国境が閉鎖され、出生した赤ちゃんを依頼者が迎えに行けなかった時期である20年夏にロシア当局によりアルグノフスキー通りのアパートにて5人の新生児が発見されました。5人の赤ちゃんらは孤児院に送られましたが、法廷から許可され、DNA検査が行われ赤ちゃんらの遺伝子が依頼者と合致したことが確認されたことにより、そのうちの3人の赤ちゃんは無事に中国人夫婦である両親の元に戻されました。4人目の赤ちゃんの父親、LIU氏は、6月25日に中国への帰国便に乗るために、息子とホテルで滞在していましたが、ロシア当局が捜査のために入室し、電話と書類を没収、そして、捜査・尋問のためにLIU氏は同行を求められ、赤ちゃんは取り上げられ、彼は人身売買の容疑をかけられました。その後、法廷にて、彼の容疑は晴れたようですが、当ニュース発信は非常に限られており、その後の情報収集が難しい状況にあります。つまり、ロシアの代理出産に関する、実際の状況は分からず不安定であることは事実です。

以前も説明したように、独身男性による代理出産使用禁止の根拠は、ロシア、そして、プーチン大統領の伝統的な家族の在り方に基づいています。また、外国人依頼によるロシアでの代理出産は、子供が外国籍を取得し、ロシア人代理母を利用するにもかかわらずロシア人にはならない、という矛盾がロシアにとって問題になっている、と、ロシア関係者は話しています。

(次回は12月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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