代理出産の歴史(48)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(9)〜日本で話題の韓国での卵子提供、日本人患者を違法に誘導する残念な状況の警告(2)

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代理出産53

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第125回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史を4年に亘り連載、そして、現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。2022年12月の日本講演で、複数の参加者の方から、日本で、第三者介入の生殖医療に制限があり罰則も法的に課されているはずの韓国での代理出産と卵子提供、日本で斡旋勧誘が話題になっている合法性について質問され、その後、この疑問が表面化したあと、今年に入り、当勧誘サイトホームページの内容が削除され改訂された経緯事実を前回=3月4日号掲載=リポートしました。
この状況を分析すると、
●異なる言語と土地(国)を利用して、違法であることを分かりながら日本人患者を斡旋する確信犯であること。
●禁止、及び、罰則があるにも拘わらず勧誘が行われ、法律の説明がされていないこと。
など、非常に残念な事実が浮上しています。

パンデミックによる世界の国際通商の制約はほぼ解消され、国境を超え、より多くの医療の選択肢があることは患者にとって価値がありますが、パンデミック後、直接の接触による取引や会議より、バーチャルでビジネスが実行可能であるインターネットの利用が世界中でより普遍化しているなか、正確な情報、真の情報が判定しにくくなっています。このことを利用し、誤った違法な勧誘が当たり前のようになされている世界になってきており、詐欺や悪質な勧誘が日常的に行われる社会になってきました。大手企業や銀行のなりすましメールをはじめ、今年に入って、日本の国税庁の名前を騙(かた)って連絡をする電子メールまで発現しています。以前もインドにおいて代理出産を依頼した日本人がインド警察に拘束された例や、最近ではロシアで代理出産の中国人依頼者が警察に拘留されており、代理出産や卵子提供使用に関して罰則が規定されている韓国で、犯罪者となるのは依頼者である日本人依頼者です。

契約である代理出産、卵子提供を海外で行う場合、当地の法律、規制、状況を正確に網羅し、信頼がおける基盤で依頼することがより重要な時代になってきたことを認識する必要があります。

(次回は5月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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