NY市における家主の暖房と湯の提供義務

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テナントの有する権利は、賃貸の種類、住居のタイプ、特定の事実や状況によって変化する

秋冬シーズンが近づくと、ニューヨーク市のレジデンシャルテナント(商業テナントとは対照的に)は、家主が暖房と湯を提供しなければならない義務について知っておく必要があります。具体的には、家主はテナントに対して、年間を通じて毎日24時間、最低120℉(48.9℃)の湯を蛇口から提供する義務があります。

さらに、同市では、10月1日から5月31日までの「暖房シーズン」の特定期間中、レジデンシャルテナントに対して暖房を提供する義務があります。シーズン中、午前6時から午後10時まで、もし屋外の気温が55℉(12.8℃)以下になった場合、屋内の気温がアパート内のどこでも最低68℉(20℃)に保てるよう、家主は暖房を提供する義務があります。そして午後10時から午前6時までの夜間は、屋外の気温に関わらず、家主はアパート内のどこでも最低62℉(16.6℃)に保つ義務があります。

もし家主が義務付けられた基本サービスを提供していない場合、テナントはその旨を家主又は管理会社に電話と文書で連絡し、直ちにサービスを提供するよう要求するべきです。また、テナントは市の311番の電話サービスに苦情を提出しましょう。同じビルの他の住民も暖房と湯のサービスを得ていない場合は、全員が311番の電話サービスに同様の苦情を出すべきです。問題解決を確実にするためには、311番の電話サービスに最低一日1回、連続して苦情電話を入れる必要があるかもしれません。311番の電話サービスへの苦情を受けて、市の住宅保存開発部(Department of Housing Preservation and Development:HPD)は、建物に調査員を派遣して状況を確認し、もし義務付けられたサービスが提供されていない場合、家主への違反通知を発行します。もしHPDからの違反通知を受け取った後も家主が暖房と湯のサービスを改善しない場合は、市が修理業者を手配し、その費用を家主に請求することもあります。家主の暖房と湯の提供義務を徹底させるためには、テナントが住宅裁判所へ訴えるという選択もあります。時によって、家主に提供義務を強制しようとして、テナントが家賃支払いを保留したり家賃不払いストを起こしたりすることがありますが、後々テナントにとって不利な問題になることがありますので、弁護士との相談なしにこのような行動を取ることはお勧めできません。家主が義務付けられた暖房と湯の提供を行っていない期間、テナントは提出した苦情の詳細記録を保存すると同時に、日時、屋内外の気温等の日誌をつけておくとよいでしょう。これらは、もし訴訟になった場合の貴重な資料となります。

最後になりますが、テナントの有する権利は、賃貸の種類、住居のタイプ、特定の事実や状況によって変化します。場合によっては、同じビルの住人の間でも、持っている権利や義務が違うことがあります。ですから、あなたがどのような権利と義務を有しているかを特定するに当たって、弁護士に相談することをお勧めします。

(弁護士 マリアン・ディクソン)

(次回は1月8日号掲載予定)

〈今週の執筆事務所〉

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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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