海外在住中に英語力に磨きをかけよう

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大学入学共通テストでの英語民間試験の活用は見送られたが…

「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人


大学入試の在り方を議論している文部科学省の有識者会議が、現中学3年生が受験する2025年の大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用と記述式問題の導入について「実現は困難」とする提言案を示し、文部科学省は、この夏にも導入の断念を正式に決定する方針だということが報道されました。

この提言案が示された理由は、英語の「読む」「書く」「聞く」「話す」の総合的な力の評価に英語民間試験を活用することについては、試験ごとに会場数や受検料、障害のある受験生への配慮が異なる中、地理的、経済的事情などによる格差への対応が不十分な点や、コロナ禍で中止も相次いだ外部の試験に依存することへの課題があり、記述式問題も、50万人以上が受験する中で公正な採点体制の確保などの課題を克服できないからということです。

英語民間試験と記述式問題は、大学入試改革の2つの柱であり、今年から大学入試センター試験に代わり実施された大学入学共通テストから導入される予定でした。そのため、2021年度入試を目指す受験生や保護者、学校関係者などが受験対策に追われましたが、導入が見送られ、現中学3年生の受験時からは導入されるということで対策を取っていましたが、またしても空振りに終わった感があります。

ただし、この提言案では、各大学の個別試験では、いずれも導入を進めていくべきだとして、推進策の充実も盛り込まれていますし、一部の私立大学では、既に英語民間試験の結果を利用した入試を導入しています。また、帰国生大学入試でも出願資格として英語民間試験の結果を利用したり、英語の試験の代わりとして英語民間試験の結果の提出を求め、合否判定に利用したりしている大学もあります。帰国生高校入試や帰国生中学入試でも英語民間試験の結果を出願資格や合否判定に利用している学校もあります。また、入学試験のみでなく、国際バカロレア資格が取得できる授業を英語のみで実施したり、すべての授業を英語で行ったりする高校も増えています。これらの高校に入学するためには、英語民間試験での好成績が必要です。

このように、英語民間試験で好成績を上げることは、帰国後の中学や高校進学において、アドバンテージとなります。そのためには、英語圏で暮らし学んでいるときに、できる限り英語力に磨きをかけることが大切です。

(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)

 

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

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