〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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大学で学ぶ分野や職業の選択は早めに

親子で進路について語り合い、将来を意識して学習に取り組みたい

現地校は間もなく年度末となり、大学や高校では卒業式が執り行われるシーズンになりました。高校卒業生の内、北米の大学に進学する生徒のほとんどは、すでに進学先が決まっており、8月下旬または9月初旬の入学を待つばかりです。日本の大学に進学する生徒でも、北米の大学生と同様に秋に入学する生徒もいますが、ほとんどが来年4月の入学に向けて受験準備をすることになります。
日本の大学では、学部や学科・専攻別に入学試験を実施するのが一般的ですので、入学前に学部・学科や専攻を決めねばなりません。また、入学試験は学部・学科(専攻)によって異なる場合が多いので、それぞれに合わせた対策が必要です。したがって、高校入学後のできるだけ早いうちに、大学で何を専門的に学ぶのかを決めることが望ましいでしょう。
北米の大学は入学後に専攻を決められる仕組みですが、何を専門的に学ぶのかを意識していないと、大学で履修する科目が決められません。また、高校在学中にも専攻の学問分野に関連する科目を履修しておく必要があります。特に、理科系の専攻に進むには、数学や理科の科目を多数履修しておくとよいでしょう。
大学で何を専門的に学ぶのかは、卒業後の進路、つまり職業にも影響を及ぼします。職業によっては、特定の専攻(学部・学科)を卒業することが求められています。医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、医療技師、看護師、裁判官、検事、弁護士、司法書士、会計士、教員、建築士などは、特定の専攻(学部・学科)の卒業と国家試験合格が求められます。
大学で学ぶ分野や職業選択は、高校生はもちろん、中学生でも、できるだけ早めに意識して学習に取り組むことが大切です。また、それが学校や家庭での学習のモチベーションにもなるでしょう。
中学生や高校生に、大学で学ぶ分野や職業を意識させるためには、保護者の働きがとても大切です。特に子どもがどんなことに興味を持っているのかを知ること、興味を持っていることについて、より知識が吸収できるようバックアップすることは重要です。
そのためには、親子間で将来の進学や就職について語り合うことが必要です。その際、親の大学での専攻(学部・学科)や、そこで何を学んだかを話したり、現在の仕事の内容やどのように選択したのかなどにも触れたりするとよいでしょう。いわゆる「親の生き方」について語ることは、子どもの心に響くのです。
(次回は6月第4週号掲載)
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