〈コラム〉2009年度もH―1Bビザ「抽選」へ

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2009年度枠のH―1Bビザ申請(Form I―129)が08年4月1日に開始します。審査に入り、そして受理されれば、申請したH―1Bビザは09年度がスタートする08年10月1日以降に有効となります。米国移民局(USCIS)ではH―1Bビザの申請を開始日の6カ月前より受け付けることにしています。

USCISは6万5000件までH―1Bビザを発給しますが、これは就労する仕事に直接的な関わりがある分野で少なくとも学士号を取得している申請者用です。ただしこの6万5000のうち6500はシンガポールとチリ出身者に充てられることになっており、これら以外の外国人にとってH―1Bビザの上限数は5万8500件となります。毎年それと別枠で追加される2万件はアメリカの大学から付与された修士号以上を持つ人を対象にしています。
昨年、H―1Bビザ枠は申請 受付の初日で満杯になってしまいました。実際はFedEx便の遅延による配達トラブルのため 2日目で締め切られたのですが、とにかく08年度のH―1Bビザ申請は12万件にも上ったのです。その結果H―1Bビザは抽選となり、審査に進める申請者が無作為に抽出されました。修士用の締め切りにはもう少し時間がかかりましたが、それでも修士の申請もほとんどは07年4月1日に行われた模様です。
今年の申請状況も昨年とほぼ同様と予想され、学士用の枠は初日で満了の運びとなりそうです。つまりH―1Bビザをお考えの申請者、雇用者の方々は是が非でも08年4月1日(火)にUSCISに申請できるよう準備せざるを得ません。申請書類は前日の3月31日(月)には揃え、翌日4月1日(火)に届くようFedEx、UPS、DHLなどの宅配業者を手配するのが良いでしょう。その日で上限に達すると思われます。その場合、USCISは4月1日に配達された申請を全て集め、公正に無作為抽選を実施することになります。どのように抽選を行うのか、また今年のH―1B申請に関する変更はないのか、この数カ月間にUSCISからの新しい情報提供が望まれるところです。
H―1Bはアメリカ企業がス ポンサーとなり、専門知識・高度な知識を有し高等教育を受けた外国人をアメリカで雇用する際に当用する期間限定ビザです。企業が外国人にオファーする仕事は、通常少なくとも学士号またはそれ以上の学位が任務遂行には必要であるものではくてはなりません。「特別専門職」と称される職掌です。その上でビザの受益者はその仕事に直接関連する分野における学士号、またはそれに相当する教育ないし経験が求められます。会計学を専攻し学位号を持つ会計士はその典型的な一例です。
H―1Bビザの期間は当初3年が最長です。その後3年間の延長が可能ですので通例合計6年が上限です。更にもう6年間希望するなら、最低でも1年以上アメリカを離れなければ新たなH―1Bビザのスポンサーを受けることはできません。しかし例外もあります。特に雇用者がH―1Bステータス従業員のグリーンカード申請を行っている場合についてふれておきましょう。6年の期限が失効する365日以前にグリーンカードを申請していれば、グリーンカードが発給されるまでH―1Bビザを1年毎に延長することができるのです。またI―140(グリーンカード手続きの中間プロセス)が承認されれば3年毎に可能です。
H―1B期間6年のうちアメリカ国外にいた時間はどんなに短期日でも、(たった24時間でさえも)取り戻すことが可能です。もちろん不在を実証できればの話ですが、日本国籍をお持ちの方なら証拠書類を揃えるのは容易いことです。日本に出入国するたびにパスポートにスタンプが押されますし、アメリカ入国時も然りだからです。
すべてのH―1Bが制限数に含まれるわけではありません。非営利の調査機関、高等教育機関に付随する非営利団体(例:医科大学の附属病院)によるH―1B申請は制限数にカウントされず、年間を通じていつでも申し込みができます。制限数の対象外となる機関はこの他にもいくつかあります。またそういった例外となる雇用者に対しては、高額な申請料金が免除されるものもあります。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
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過去の一覧
(「WEEKLY Biz」2008年1月25日号掲載)

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