〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第63回

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靴について part 1

kenaoki0524 日本に年に3、4回営業のため出張しますが、その際、気になるのが、街歩き、そして電車の中でふと目線を落としてビジネスマン諸氏の靴を見る時なんです。近年、お手入れの素晴らしい方が増えてはおりますが、もう少し靴のお手入れに気を遣われると、全体の見栄えがぐっと良くなる方がまだ多いように思われます。正直、とてももったいない、残念なことだと思うのです。
当地ではビジネス・ミーティングの際、髪が櫛(くし)で梳(す)かされているよりも、靴がきちんと手入れされ、きれいに磨かれているかがより大切と言われておりますね。ビジネス用紳士靴で高級ゾーンとされているのは、大体275ドルUPなんですが、このような靴にはカーフと呼ばれる生後半年から10カ月未満の子牛の革が使われ、製法はグッドイヤーウェルテッドと呼ばれる手間の掛かる方法が採用されております。この作りは中底と本底の間に(日本で)中物と呼ばれる、コルクを刻んで練ったものとシャンクと呼ばれる板状のものが、土踏まずの部分にセットされて、履き込んでいきますと中底がオーナーの足型の通りにへこんで、靴のフィット感が向上するとともに、シャンクが足を踏み出す度に反動で元に戻ろうとするため、歩行の動作を助けてくれるのです。こうして、足の疲れも随分と軽減されるのです。
現在このような作りの米国製紳士靴はAllen EdmondsとAldenの2社くらいとなってしまいました。この2社の紳士靴はどちらも300ドルくらいからですが、Allen Edmondsはクリントン、ブッシュ親子ら元大統領が執務中、履いていたことでも有名となりました。Aldenは雑誌など媒体の影響もあり、日本の若い人たちにも随分と人気です。男の足元は思いの外、大切なのです。どんなに良い服を着ていても靴の選択と手入れ次第で見栄えが良くもなり、悪くもなってしまうのです。しばらく靴について書いてみようかと思います。それではまた。

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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