〈コラム〉Dr. Clara Lee「歯のおはなし」24回

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My daughter’s Earrings

娘のピアス、舌や唇でなければいいかな?

わが家は子供2人の4人家族です。生き物が大好きで犬、3匹の魚、アレチネズミ、ヘビ、ブラインシュリンプを飼っています。最近、娘は友達がバケーションに行く間、友達のモルモットの世話を頼まれ、張り切って大事に面倒を見ていました。大好きなミッキーマウスのピアスをディズニーランドのお土産としてもらったのですが、着けることをまだ許されていない12歳の娘はとても残念そうです。実は1年以上前からピアスをしてもいい? と聞かれていましたが、私は首を横に振り続けているからです。
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最近はあまり見なくなりましたが、以前は若い患者さんが舌や唇にピアスをしているのをよく見かけました。芸能人の間でもファッションとして紹介されたり、俗に言う、“クール”な印象で気軽にピアスをしたいのかもしれませんね。その半面、舌や唇にするピアスの弊害はあまり知られていないようです。元々、口の中には常在菌がいますが、ピアスをすることで口内感染症になったり、舌からの感染症が血流により脳まで広がる懸念や、または心臓にまで問題が生じる可能性もあると専門家が言及しています。唇ピアスは感染による腫れで会話に困難になったり、咀嚼(そしゃく)にも弊害があり得ます。また食べ物がピアスに付着しやすくなり、それもまた感染する状態を誘発します。ピアスを開ける時に血管を傷つけ止血が難しくなる恐れもあります。
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仮にこのような感染症にならずにすんだとしても、食事中や会話中はピアスが絶えず歯に接触することことで歯が欠けたり、ピアスが常に歯茎に当たることによる歯肉後退、虫歯の誘発も考えられます。またピアスはレントゲン画像の邪魔になり、適切な診断の妨げにもなります。また、ピアスが外れかかってるのを気付かずに起きる誤飲、ひどい場合は気管に入り緊急処置さえ必要になるかもしれません。
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このようなリスクを考えると、歯科医としてはお勧めしたくない舌や唇にするピアス。耳のピアスは随分とリスクがなさそうですね。
娘のピアスの願いを考慮する時が来たのかもしれません。娘が大人になってからでは、ミッキーマウスのピアスはかわい過ぎるでしょうから!
(次回は10月13日号掲載)(「WEEKLY Biz」2012年9月8日号掲載)

〈プロフィル〉Dr. Clara Lee ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院でチーフレジデンス修了。13年以上に及ぶ臨床経験は一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care院長として古山医師と共に、多くの日本人患者さんを治療。Dentistryをこよなく愛している。記事提供:Waterside dental Care(Tel:212-683-6260)

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