代理出産とは(1)代理出産は人に相談しにくく実際のケースの情報限られる

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代理出産1

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第73回

今月から医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産について説明を開始します。この10年間で各国の法律や生殖医療に関わる規制により、代理出産を行うことが可能な国の分布は大きく変遷しています。命の誕生、国籍にも関わる依頼になるため、十分な配慮と調査が必要です。

弊社では2011年から代理出産依頼のコンサルテーションを開始しました。03年に設立した弊社のコンサルテーションは、患者さまがより多くの治療方法の中から選択できるように正確で先端医療情報を提供し、各患者さまと二人三脚で進める方法で、がん、臓器移植、重篤な疾患をはじめとし生殖医療に対して、と多岐に及びますが、設立後の8年間、代理出産のコンサルテーションはあえて避けてきたという事実があります。これは、第三者が介入して命の誕生を助けるという複雑さがあるためで、期間においても少なくとも1年間、休むことなくケースに従事する必要があるため、コンサルテーションを行うことに対して慎重に受け止めていたためです。

しかし、11年に日本から、2人のロキタンスキー症候群の患者さまからの問い合わせが偶然にもほぼ同時に入ったことが私の心を動かしました。この代理出産リポートシリーズの説明を進めていく中でどのような患者さまが代理出産を有益に利用できるか、についても書いていきます。このロキタンスキー症候群とは、状態や症状には幅がありますが、生まれながらに子宮が存在せず出生する症状を言います。このロキタンスキー症候群についても、次回以降に詳しく説明をしますが、症状が女性にとって受け入れがたくつらい内容であるため、特に日本では多く語られることはありません。そのため、こうした患者さまがどのように人生を組み立て、幸せになる方法論についても語られていないことが事実です。このような患者さま2人からの心からの訴えを聞き、複雑で長時間のコンサルテーションに及ぶとしても、取り組んでみるべきではないか、と心を動かされ、代理出産のコンサルテーションを開始するに至りました。ちなみに現在このお2人のクライアントは両者ともお嬢さんを迎え、小学校に上がるまで大きくなっています。

代理出産は人に相談しにくいセンシティブな依頼であるため、実際のケースを公言することもなく、情報が限られています。正しく新しい情報をお伝えするために、代理出産についての説明を継続していきます。

(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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