ホイス・グレイシー

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トレーニングを繰り返せば試練は乗り越えられる

「ガチ!」 BOUT. 207

 

ホイス・グレーシー

 

米国の総合格闘技団体「Bellator(ベラトール) MMA」が2月27日、コネチカット州にあるモヒガン・サン・アリーナで試合を開催。大会前夜にはファンイベントも行われ、特別ゲストとして招待された、エメリヤーエンコ・ヒョードルとホイス・グレーシーのサイン会には、多くの格闘技ファンが駆け付けた。一線を退いた後も世界中のファンに愛される一時代を築いた“レジェンド”たちに話を伺った。 (聞き手・高橋克明)

 

米「Bellator MMA」で特別ゲスト

今回のファン・エキスポはベラトールという格闘技団体のイベントです。UFCではない、この格闘技団体をどう評価されていらっしゃいますか。

グレイシー いいイベントだし、いい団体と思ってるよ。昔ながらの格闘技団体っていう感じがする。今の格闘技は健全になりすぎていて、それはとてもいいことだと思うけれど…なんて言うんだろう、昔のようなダイナミックな面白さに欠けてきていると思うね。

全体的にスポーツ化が進んでいますね。

グレイシー なので、もう少し階級のウエートの幅を持たせてもいいんじゃないかな。あまりにも厳密にしすぎて“スポーツ”にしか見えない。格闘技は格闘技だからね。小さなファイターが大きなファイターを倒す、そんなシーンを見たいファンだっていると思うよ。

かつてのあなたのように。

グレイシー まあね(笑)。でも(今回の試合で組まれている)キング・モーとシーク・コンゴのデッカいやつ同士の試合も、それはそれで面白そうだけどね。(笑)

引退後、現在はどのような活動をされていますか。

グレイシー 1年のうち7カ月は海外を回っているよ。世界中で格闘技を教えたり、コーチをしたり。そしてセミナーをしている。自分が格闘技で経験をしたことを今の若い人たちに教えたいんだ。

今の時代、あなたに教えを乞いたい人は世界中にいるはずですね。

グレイシー 自分でもコーチをすることは性に合っていると思っている。これでも結構いい先生って言われるんだよ。(笑)

現役復帰の可能性はありますか。見たいファンは世界中にいると思いますが。

グレイシー もしかしたら……うーん、もちろん可能性がゼロとは言えないけれど、なんとも言えないね。神様の意思もある。今の時点では“もしかしたら”という言葉しか言えないね。

あなたの現役時代、最も印象に残るライバルは吉田秀彦選手か、桜庭和志選手だと思うのですが、実際闘ってみてどちらが強かったですか。

グレイシー 2人とも、とてもとても強いファイターだよ。ヨシダは柔道の世界チャンピオンだし、サクラバはこのMMA業界ではレジェンドだ。そんなタフな二人だから、どちらが強いかなんてとても決められないね。

最後に、夢を持ってニューヨークに来た日本人読者に何かアドバイスをお願いします。

グレイシー 不可能なんてないってことだよ。あなた方が何に挑戦するとしても、日々、トレーニングをして、トレーニングをして、トレーニングをすれば、試練は乗り越えられる。そういうことだね。(ニッコリ)

 

ホイス・グレイシー(Royce Gracie)
職業:総合格闘家、柔術家
1966年生まれ。ブラジル・リオデジャネイロ出身。グレイシー柔術の創始者エリオ・グレイシーの六男で、三男ヒクソン・グレイシーの異母兄弟の弟。“一族最強の男”の異名を持つ。幼いころからブラジリアン柔術を学び、18歳で黒帯を授与される。黒帯授与後は米国に移住し、93年から開催された総合格闘技大会「UFC」1、2、4回大会で3度の優勝を果たす。2000年5月、PRIDE GRANDPRIX 2000決勝戦の2回戦で桜庭和志と対戦。1R15分の無制限ラウンドというルールの中、6R(90分間)戦い抜いた時点でセコンドからのタオル投入によるTKO負け。03年、ケン・シャムロックと共にUFCの殿堂入りが決定した。同時にUFC公式サイトで投票されたUFC歴代人気ファイターベスト10が発表され、ランディ・クートゥア、ケン・シャムロックに次ぐ3位となった。

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2015年4月11日号掲載)

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