〈企業トップインタビュー〉CAC America 萩原高行 取締役社長

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チーム制でより躍進目指す

在米日系ITアウトソーサー
NYから米国現地法人にサービス提供10-03-13_Ogowara

在米の日系ITアウトソーサーとしてニューヨークで長い歴史を持つCAC America。近年、シカゴやカリフォルニアにもビジネスを拡大し、グローバル化が進む日系企業の米国現地法人に向け、質の高いサービスを提供している。昨年で20周年を迎え、さらなる品質やサービスの向上、また、その源泉となるエンジニアを中心とした人事制度改革に切り込む萩原高行社長にお話をうかがった。
◇ ◇ ◇
―御社の事業内容について教えてください。
萩原社長 株式会社シーエーシーの100%子会社として、1989年、ニューヨークに設立。日系企業のお客さまを中心に、主にITインフラストラクチャーのサポートやヘルプデスク、システムの運用・保守などを行っています。「日本で構築したシステムを米国でも使いたい」「プロジェクトの管理は日本で行うけれど、実際のユーザーである米国人に合わせた開発サポートをしてほしい」など、お客さまのニーズはさまざまです。また、長年システムを使い続けるうえで不可欠となる変更管理やシステム拡張などの仕事もちょうだいしています。
―競合他社と比べてのアドバンテージは。
私たちの強みは、米国のことをよく理解している現地のエンジニアたちが、日本から持って来たITのノウハウを存分に生かした、きめ細やかなサービスを提供していることです。当社のエンジニアは、必ずしもITに携わってきた人ばかりではありませんが、非常に優秀な人材がそろっていると自負しています。エンジニア個々の質やポテンシャルは、日本の本社よりも高いのではないでしょうか。現地で採用したエンジニアは、米国の厳しい生存競争社会で勝ち抜いてきただけあり、大変努力家で、かつタフな人材が多く、彼らの優秀さや働く姿勢に私自身頭が下がる思いです。
また、当社は駐在員が少なく、大半を現地で採用したスタッフが占めているので、同じ米国現地法人の日系企業さまに比べて、人件費という点でコストを抑えられているのではないかと思います。赴任者はどうしてもコスト高になりますからね。
―技術面やサービス面における日米の違いを感じることはありますか。
米国のIT動向をひと言で表すと「Scrap&Build」。つまり、「今あるものを捨て、新しいものを導入する」サービスを得意とする傾向があります。もちろん、不具合が生じた場合などはシステムを一新する必要があるので、日本のきめ細かなサービスと比べてどちらが良いとは一概には言えませんが、一つのシステムを時代の変化に合わせて長く大切に成長させていく、いわば農耕民族的なアプローチこそが、お客さまの満足度につながるのではないかと考えています。
また、サービス面におけるメンタリティーの差も感じます。システム開発における 基本的な制約に「QCD(Quarity=品質、Cost=予算、Delivery=納期)」というものがありますが、中でも「納期」を守ることは非常に重要となります。「品質」や「予算」も大切ですが、システムとは稼働して初めて利益を生むものですからね。納期を守ることに対しては、日本人の方がずっと真剣に考えていると思います。納期が迫っているにもかかわらず、休暇を取ったりする他社の米国人を何人も見て、大変ショックを受けました。
―社長に着任されてちょうど1年が経ちますが、社長独自の取り組みやビジョンなどありますか。
今、取り組んでいることの一つに内部改革があります。社内の人事制度を見直すことで、サービス力をより高めていこうと考えています。
先ほど、優秀なエンジニアたちが当社の強みであると述べましたが、その半面、それぞれが単独で頑張る傾向がどうしても強く、それが欠点となる場合もあります。自社のシステムについて熟知しているエンジニアが長年にわたってサポートし続けることはお客さまの満足度向上へとつながりますが、仮に、そのエンジニアが転職したり、別の地へ赴任してしまったりすると、突然サービスの継続が難しくなってしまいます。もし、チームとして対応していれば、チームの中の別の有識者が、今までと変わらず、コンスタントに良いサービスを提供していけるでしょう。
また、技術者にとっても、いろいろなプロジェクトに携わることで、仕事に飽きることもなく、それぞれの過程で自分自身の成長を感じ取ることができるのではないかと思います。お客さまに質の高いサービスを提供するためには、スタッフが安心して長く働き続けられる環境、そして日々成長していると実感できることがまずは重要ではないでしょうか。チームとして動くことで、会社としても目標設定を明確化でき、それに対する評価もしやすくなりますね。
日本特有のメンタリティーと生存競争に勝ち抜いてきた優秀な頭脳、それを持ち合わせた技術者たちがチームとしてサポートしていく体制が確立できれば、お客さまの安心感や満足度も高まり、長きにわたってお付き合いいただける会社として力を発揮できるのではないかと信じています。ただ、1人の技術者を派遣してほしいというニーズも多いため、チーム体制にあたっての課題はありますが、必ずしやお客さまに貢献できることと信じ、私たちの姿勢をお客さまにご理解いただけるよう、努力を続けていく所存です。

はぎはら たかゆき 東京都出身。1982年、自由学園最高学部卒業、84年、東京理科大学理学部第二部数学科卒業後、株式会社シーエーシーに入社。プログラマ、人工知能研究、分散システムSI、複数の大規模プロジェクトPMやアーキテクト業 務、ビジネス開発に従事し、2004年、同社取締役に。09年3月、CAC America取締役社長に就任。趣味は水泳と散歩。週に3〜4キロメートルほど泳ぐことも。
(「WEEKLY Biz」2010年3月13日号掲載)

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