賃貸申し込みで気をつけたい書類と信用情報
ニューヨークでアパートを探す際、家主や管理会社による入居審査のデジタル化が進んでいる。収入や信用情報、本人確認などをオンラインで処理し、人工知能(AI)や機械学習などの技術を取り入れた入居者スクリーニングサービスも登場している。
米住宅都市開発省(HUD)は、家主が第三者の入居者審査会社を利用するケースが増えており、その中には機械学習やAIなどの高度な技術を使うサービスもあると指摘している。
では、これからニューヨークでアパートを借りる人は何に注意すればいいのか。
AIを使っても「公正住宅法」は適用
HUDは2024年4月29日、賃貸住宅の入居者審査に関するガイダンスを発表した。
入居者審査では、クレジットスコアや家賃支払い履歴、立ち退き記録、犯罪歴など、さまざまな情報が利用される場合がある。さらに、こうした情報をアルゴリズムによって分析し、申請者について評価や推奨結果を出すサービスも存在する。
HUDが問題視しているのは、審査が高度に自動化されることで、申請者自身が「なぜその結果になったのか」を理解しにくくなる可能性があることだ。
ただし、AIやアルゴリズムを使えば家主側の責任がなくなるわけではない。
HUDは、第三者の審査サービスを利用する場合でもFair Housing Act(公正住宅法)が適用されるとしている。人種、肌の色、出身国、宗教、性、家族構成、障害など、法律で保護されている属性を理由とする住宅差別は認められない。
ニューヨーク市にも独自の人権法があり、家主や不動産業者などが法律で保護された属性を理由に入居希望者を差別することを禁止している。
申請前にチェックしたいポイント
デジタル化された審査では、申請者側も提出する情報をこれまで以上に慎重に確認しておきたい。
まず重要なのが本人情報の整合性だ。
運転免許証などの身分証、給与明細、銀行関連書類、賃貸申請書などに記載する氏名や住所に間違いがないかを確認する。引っ越しや転職直後などで情報が異なる場合には、必要に応じて事情を説明できるようにしておくとよい。
収入を証明する書類も重要になる。
会社員なら給与明細や雇用証明など、フリーランスや自営業者なら確定申告書や銀行記録などを求められる場合がある。複数の資料を提出する場合は、それぞれの数字や内容に説明できない食い違いがないか確認しておきたい。
また、クレジット情報をセキュリティー対策として「freeze(凍結)」している人は注意が必要だ。審査で信用情報へのアクセスが必要になる場合、freezeが原因で確認できない可能性があるため、申請先がどの信用情報を必要としているのか確認しておく。
「AIに落とされた」と思ったら?
もう一つ知っておきたいのが、入居者審査会社が作成したレポートによって不利益な判断を受けた場合の権利だ。
米消費者金融保護局(CFPB)によると、家主が入居者審査レポートを理由に申請を拒否したり、通常より高い保証金を要求したりするなどの「adverse action(不利益な措置)」を取った場合、申請者にはその旨を通知する必要がある。
通知には、審査レポートを提供した会社の名称や連絡先などが含まれ、申請者は一定期間内であれば、その会社からレポートの無料コピーを請求できる。内容に誤りがあれば異議を申し立てることもできる。
つまり、「コンピューターの審査だから仕方がない」と諦める必要はない。
AIやアルゴリズムの導入で、NYの部屋探しは便利になる一方、審査の仕組みは以前より複雑になりつつある。これからアパートを探す際には、家賃や立地だけでなく、自分がどのような情報で審査され、その情報が正しいかを確認することも重要になりそうだ。
