〈インタビュー〉ジャズピアニスト 大江千里さん

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NY倫理友の会「年次総会」で演奏

懐かしく、ほっとする選曲に

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インタビューに答える大江千里さん

ニューヨーク倫理友の会の「第14回年次総会」(11月4日開催)にゲスト奏者として招かれ演奏するジャズピアニストの大江千里さん。
人気シンガーソングライターとしての大きな成功から一変、7年前、保証もなくニューヨークでジャズピアニストとしての新しい人生をスタートさせた千里さん。
「やっと少し慣れて勝手が分かってきましたが、また新たに分からないことが見つかって…その繰り返しですね」と笑う。ジャズについても同じ。分かれば分かるほど逆に迷うことも。「時間がかかりますよね、一生涯勉強し続けるのだと思います。」
必ず前に進んでいるのだから諦めてはいけない、と続ける。「CDを発売した1、2年前と比べれば、確実に進化している。毎日の進歩は亀の歩みであっても、それが8年分積み重なれば、大きな進化。信じてやりしかないですね。(笑)」
安定を保証された日本に戻りたいという気持ちはと尋ねると「無いですね」と即答する。
日本にいたころ、マネジャーがこなしていた雑務やレーベルの仕事なども今は全てを自身がこなす。リスクも苦しみも多いが「未体験の物事から得る新鮮な驚き、喜び」が刺激になる。「明日どうなっているか、正直分からないし、大変なこともたくさん経験したが、それでも毎日充実感がありますねぇ」と笑う。
ヒット作を作り、ファンの期待に答えていく―。“人気ポップアーティスト”として世間の「求められている曲想を裏切れない」日々だった日本での生活に比べ、こちらでの生活は制約がない。だからこそ、「書ける可能性がある曲はどんどん書いて、自分の新しい可能性を、どんどん開いていきたい」
「求めていた生活を送れている」。今の人生は送り出してくれた日本のファンやニューヨークで出会った音楽仲間のおかげ。「日々、感謝です!」
倫理友の会のパフォーマンスには季節感を盛り込みたい、と話す。ジャズを演奏する中にも和音階を随所に盛り込むなど「懐かしく、ほっとする選曲にしたい。寒くなる時期ですが、心は温かくなるような、そんな時間をお届けします」

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 大江千里(おおえ せんり) ジャズピアニスト 1960年9月6日大阪生まれ。3歳のときにクラシックピアノを始め、習っていた先生の勧めで即興演奏を始める。関西学院大学経済学部4年時の83年5月21日、デビューアルバム「WAKUWAKU」をリリース。3枚目の「未成年」をはじめ、「AVEC」「OLYMPIC」「1234」などゴールド・デイスクを受賞したアルバムは数知れず。作家としては、光ゲンジ「太陽がいっぱい」、松田聖子「パールホワイト・イブ」、渡辺美里「10 years」、など。
公式サイト:senrioe.blog.so-net.ne.jp/、www.facebook.com/senri.oe2

(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年10月11日号掲載)

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