〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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senmonka

今週は「シンデル法律事務所」

移民局による最近のビザ申請審査の厳しい現状(その1)

米国の政策調査機関であるthe National Foundation for American Policy(NFAP)が最近発表した調査結果は、近年多くの移民法弁護士が指摘してきた米移民局の厳しい審査状況を裏付けるものとなりました。弊社のケースにおいてもそうですが、以前に比べてケースの却下および質問状が発行されるケースが格段に増えており、以前問題なく認可されていたケースでも質問状の発行、場合によっては却下となるケースが増えてきている現状がありました。そこで今回はその調査報告書を基に、今の移民局の審査状況を紹介、分析したいと思います。(以下、報告書からの抜粋も一部ございます)
基本的に、まず申請書類を移民局に提出したら、審査を経た次の移民局の返答は、認可、質問状の発行(追加資料や情報の要求)で、明らかに申請条件を満たしていない場合等については質問状が来ることも無く、最初からケース却下となる場合もあります。過去3?4年前にさかのぼると、移民局に提出した申請書類のうち、約90%のほとんどのケースが質問状を受けることなくケース認可されていました。それ以降、法律そのものに大きな変更が合ったわけではないにも関わらず、現在では多くのケースでビザの取得が困難な状況に陥っています。我々もそれら状況を理解し、より戦略的に、かつできる限り多くの証拠書類を出して対応しているのですが、どのような資料を出すにせよ、どれほど詳しい説明をしたとしても現在では質問状が届き、ケースによっては申請が却下されているのです。とりわけ届く質問状で驚くべきことは、ほとんどのケースにおいて、既に最初に提出したはずの証拠資料や説明に関する同じ事項について再度の提出や説明を求めて来るということです。
例えば、Lビザカテゴリーについて、2008年度から09年度にかけて、とりわけL―1Bビザ認可について移民局審査官は審査方針を変えているようです。今回の調査結果では、11年度の申請された全L―1B申請に対し、実に63%のケースに質問状が発行され、27%のケースが却下となったということです。つまり、移民局に提出された全L―1B申請ケースのうち、63―90%のケースが却下、または質問状が届くことで認可まで多くの時間を要しているという結果となっています。
(次回は9月8日号載)

(「WEEKLY Biz」2012年8月11日号載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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