代理出産の歴史(50)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(11)〜日本で話題の韓国での違法卵子提供と韓国事情(1)

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代理出産55

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第127回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史を4年に亘り連載、そして、現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。2022年12月の日本講演で、複数の参加者の方から、日本で広告、勧誘が行われている第三者介入の生殖医療に制限があり罰則も法的に課されているはずの韓国での代理出産と卵子提供の合法性について質問され、21年12月30日に施行の韓国政府保健福祉部の生命倫理、及び、安全に関する法律(略称:生命倫理法)を表記して韓国における卵子提供、男女産み分け禁止と刑罰の法規を提示し報告しました。

違法治療が、当然のように勧誘されていることは残念ですが、日本人の患者様からの声で、「韓国は元来、厳格に法を取り締まらない緩い国だから、法規はあってないようなもので、違法であっても関係なく行われているのでは」と質問がありました。弊社は現在、ある斡旋会社による詐欺手法で困っている方々からの救済依頼として、昨年の22年から、緊密に韓国クリニックと関与してきています。これらの日本人の方々は、韓国の韓国政府保健福祉部発行の生命倫理法の存在も内容も知らされず、違法であり不可能であるはずの治療を依頼してしまっており、プログラム料金を支払ったものの治療は行われず、問題ばかりが残存しています。支払った料金も戻らず、日本の法律専門家に相談しても、「海外でのトラブルであることから日本からはなにもできない」「日本でそもそも合法でない治療であるため、訴訟は日本からは難しい」などの回答を得ているようです。韓国の弁護士を探す必要があります。これらのケースは、治療は開始されず、時間ばかり経過している間に、生命倫理法の条項の一つである〈受精卵作成日から5年が経過した受精卵は破棄〉という規定に従って、韓国病院が5年を経過した受精卵を破棄する、いう事態が発生しているものです。

次回は、このトラブルに関して、そして、韓国現地での一般韓国人への取材を報告していきたいと思います。

(次回は7月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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