〈コラム〉タイム・オブ・エッセンス・レター(取引決算日を具体的に設定する通知)

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クロージング期日(取引決済日)の遅れ、まずは実際の利益やリスクを弁護士と見直して

不動産取引のクロージング期日(取引決済日)の遅れが相当と思われる期間を過ぎた場合、当事者はクロージングを行うために待ち続けるか、最終的なクロージング期日を示すTime of the Essence Letter(タイム・オブ・エッセンスレター、略してTOEレター)を発行するかを決める必要があります。TOEレターは、最終的なクロージング期日を定め、他方当事者がTOEレターに示された期日にクロージングを行うことができない場合、他方当事者を不履行であると見なすことを示します。

このようなTOEレターは、しばしば訴訟の先駆けとなるため、全ての事実関係、状況、不特定事項、費用、遅延等を弁護士と相談してから発行する必要があります。TOEレターは長期に渡る遅延と当事者間の訴訟を引き起こす可能性があります。TOEレターは クロージング期日を確実にするという意図で発行されますが、仮にクロージングにこぎつけられたとしても、実行されるまでに何カ月もかかるでしょう。係争中は、両当事者と問題となっている不動産は、身動きが取れなくなります。

TOEレターには標準書式はありませんが、これがタイム・オブ・エッセンスの通知であることを明確にし、受取人が契約上の義務を履行して取引を決済するための相当の機会と期間を与えなければなりません。また、受取人が契約上の義務を履行できず、TOEレターに定められたクロージング期日に取引決済ができない場合、受取人を契約不履行であると見なすことが明確に示されていなければなりません。

TOEレターで重要なポイントは、受け手が義務を履行するための相当期間を与える必要があるということです。通常、相当期間は30日間とされることが多いのですが、必ずしも30日間が適切であるとは限りません。何をもって相当となすかは、事実関係、事情、特定の状況を考慮するためケースバイケースです。TOEレターを発行する当事者が、受領当事者に相当の機会と期間を与えなければ、裁判所がTOEレターを無効にすることがありますので注意が必要です。

多くのクロージングは、売買契約書に定められたクロージング期日の数週間以内に実行されますが、TOEレターを発行すると結果的に遅延が生じます。いずれにしてもTOEレターは他方当事者に義務を履行するための相当期間を与える必要がありますから、当事者は発行することの必要性を十分に考慮することが必要です。

もちろん、クロージングが不当に遅れている場合、手続きを押し進めるために、TOEレターを発行するのが賢明な状況になることもあります。しかし、まず実際の利益やリスクを弁護士と見直し、十分に検討することが大切です。

(弁護士 マリアン・ディクソン)

(次回は4月第1週号掲載)

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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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