日本の高校編入後の大学進学

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入試の仕組みや特徴を理解し、自分に合った方法を確認したい

「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

現地の高校を卒業して日本の大学に進学する場合には、帰国生入試が受験できます。しかし、現地の高校を卒業する前に帰国し、日本の高校に編入した場合には、帰国生入試を受験できない大学もあります。ただし、日本国籍や日本の永住権があれば、国内生と同様の入試が受験できます。今回は、日本の高校に編入後、日本の大学に進学するために受験できる入試について、説明させていただきます。

1)帰国生入試(帰国生徒選抜)
先述したとおり、多くの国公立大学は受験できません。私立大学には受験できる大学もありますが、現地校の中高を通じ2~4年以上の在学を条件としているケースが目立ちます。北米の教育制度に日本の教育制度を当てはめ、7~9年生が中学、10~12年生が高校となりますので、最低10年生までの在学が必要です。
選考方法は、大学・学部によって異なりますが、文系学部では小論文と面接、理系学部では数学・理科と面接が課される場合が目立ち、比較的軽い負担で受験ができます。また、TOEFL(R)のスコアの提出を求める大学が多く、中にはSAT(R)のスコアの提出を求める大学もありますので、英語力の保持・向上も大切です。

2)一般入試(一般型選抜)
国公立大学に進学希望の場合は、大学入学共通テストの受験が必要です。多くの大学が5教科(国語、数学、地歴・公民、理科、外国語)を課していますので、高2や高3で編入する場合には負担が重く、思い通りの実力を発揮できない可能性もあります。また、国公立大学の二次試験や私立大学入試は大学・学部によって異なりますが、文系学部では国語、地歴・公民または数学、外国語の2~3教科、理系学部では数学、理科、外国語の3教科が課され、多くの教科の受験勉強が必要です。ただし、高校での学習や受験勉強に力を入れれば、合格できないことはありません。特に私立大学の文系学部では、外国語の配点ウエイトが高い大学もあり、英語力を発揮して合格している帰国生も目立ちます。

3)AO入試・グローバル入試(総合型選抜)
AO入試はアドミッション・オフィス入試の略称です。アメリカの大学の選考方法に類似しており、書類審査を重視します。また、面接やグループディスカッション、小論文やプレゼンテーションを課す大学もあります。また、大学入学共通テストの受験が必要な大学もありますが、合否判定に必要な教科は一部となります。グローバル入試はAO入試の一種で、グローバル社会で活躍できる人材を求めるものです。出願書類にTOEFL(R)のスコアを求められますので、英語圏からの帰国生にとっては、有利な入試といえます。また、活動報告書の提出も必要で、ボランティア活動やクラブ活動、インターンシップなどに力を入れていると記載内容で高評価が得られる可能性があります。

4)推薦入試(学校推薦型選抜)
出身高校長の推薦が必要な入試ですので、高校での成績が優秀であることが必要です。編入生にとって高成績を上げることはなかなか難しいですが、努力次第です。編入した高校が進学希望の大学から指定校として認定されていて、推薦基準に達することができれば、合格がほぼ確約されています。指定校として認定されている大学や推薦基準を、高校編入前に確認されると良いでしょう。

5)国際バカロレア(IB)入試
現地校や編入した日本の高校で、国際バカロレア(IB)の単位を取得した場合に受験できます。2022年3月時点で68大学が実施しています。対象となる科目や選考方法は大学によって様々ですが、今後さらに増加する可能性はあります。また、国際バカロレア(IB)の単位を取得することは海外の大学への進学も有利となります。

このように、日本の高校に編入した場合は複数の入試方法での大学進学ができます。各々の仕組みや特徴を理解し、自分に合った方法を確認し、海外にいるときから必要な準備や対策を進めておいていただきたいと思います。

(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校)

 

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

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