〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第68回

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靴について part 6

8345_vector 現在マンハッタンのミッドタウンで靴を磨いてもらうと1足4ドルまたは5ドルくらいなんです。これにチップを2ドル程度乗せるのでトータルで6ドルまたは7ドルくらいとなります。そして、どういう人たちが靴を磨いてもらっているのかは、店内にぶら下がっているテレビで放送されている番組をチェックされてみるとよくお分かりになるでしょう。靴磨きは時間にしてだいたい15分くらい。ミーティングの資料をカバンから取り出し、プレゼンの最後のチェック、予行演習をされている方、じっと目をつむっている方など過ごし方はさまざまです。そして、靴磨きが靴底を指でコンコンと叩いて靴がピカピカとなったことを知らせ、光り具合を確認すると、“ヨシ!!!”という表情で代金を払い、磨いてくれた人にサンキューと言いつつチップを渡して足早にアポイントメント先に向かって大股かつ早足で向かって行くのです。
そうして、なぜか、残念なことにこのような場で日本のビジネスマンの姿をほとんど見かけることがありません。ニューヨークで仕事をした、その思い出作りのためだけでもいいので、ぜひ一度と言わず、靴磨き、シューシャインを体験してほしいと思うのです。7ドル程度のコストは発生しますが、そのコストに十分見合ったものであることを保証いたしますし(笑)、必ずや得難い体験となるかとも思います。日本のビジネスマンの靴について、正直なところ、“輝き”が足りません。お気に入りの黒の紐靴を、一度プロに磨き上げてもらいますと、その後、ご自身で磨かれる際にお手入れも随分と楽となり、表面のワックスのせいで靴に傷もつきにくくなるものです。
日本では、昔はどこの駅にも靴磨きの方がおられたものなのですが、ほぼいなくなってしまった状態が続いておりましたが、近年復活の気配充分で、素晴らしい職人さんも続々と出てきています。身だしなみは足元から、これは疑いようのない事実なのです。それではまた。
(次回は8月第4週号掲載)

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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