集夢計画68「コロナ禍と理想郷」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第73回

夢の国作りの協力者の一人、溶接担当:Swee Hee Toong(小董)

夢の国作りの協力者の一人、溶接担当:Swee Hee Toong(小董)

10年以上コラムを続けていますが、今年ほど衝撃的な出来事が続いたのは初めてです。新型コロナウイルスの発生とパンデミック。2カ月余りの自宅待機令を経て、経済活動を再開した矢先に起こった抗議デモ(Black Lives Matter)。

新型コロナウイルス感染の最中にもかかわらず、「変わらなくては」という必死のメッセージが響きました。ウイルスの威力は夏になっても衰えず、感染者の増加と比例するように、経営破綻する店や企業が続出、国の経済は崖っぷち。

また、大雨による被害も深刻です。最近では九州地方の被害が報道されましたが、同様の水害はさまざまな国で発生し、多くの犠牲者が出ています。天災人禍(自然災害と人による災い)による多数の死者、経済崩壊を目の当たりにして誰もが希望を失いそうです。

こういう時、私は人という字を心に描きます。人是互助(人は形通り互いに支え合う存在)。自分の身を守ることも大切。元気であれば働き、人を助けることができます。互助作用は新しい繁栄の礎となるかもしれません。

私も6月半ばから制作を再開しました。週末は山で夢の国作り。直径50メートル円周の石囲いの始まりは、大きな石(数十トン)の左右に小さい石(2、3トン)を三つずつ、七つ合わせてラッキーセブン。続けて左周りには山のオーナー、右回りには私の生まれた年と月の数だけの石を配置。数億年の歳月をかけて形作られた石は長寿の象徴です。

友人が使わなくなったボートを運んでくれて、空飛ぶ船を制作中=写真。神聖なサークル、目には見えない幸せを感じられる理想郷を友人たちの手を借りながら作っています。もう一つ、メトロカードの十二支「牛王」もあと半月ほどで完成予定です。数千人のパワーを込めた牛王を次のコラムで紹介します。困難を乗り越えるまで、信念を強く持って一緒に頑張りましょう。

(次回は9月第3週号掲載)

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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