〈企業トップインタビュー〉ニッポンオートリーシング(NAL) 加賀義彰社長

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米国東部で唯一の日系自動車リース会社

「信用第一」に在米邦人の“足”を30年以上、手助け

0927-14men-DSC06735 米国東部で唯一の日系自動車リース会社「ニッポンオートリーシング(NAL)」。1981年の創業当初から顧客の99%を日本人が占めるという同社。渡米直後でクレジット歴がない、または、ソーシャルセキュリティーナンバーを持っていないという人でもリース申請ができるとあって、在米日本人の生活=“足”を助けてきた。今回は車をめぐる時代の変化やビジネスの在り方について、同社の加賀義彰社長にお話を伺った。
◇ ◇ ◇
―創業された1981年当初と比べて、市場の移り変わりをどうご覧になりますか。
加賀社長 お客さまの需要が明らかに変わってきています。当社では、私たちが車を選ぶのではなく、お客さまのリクエストに応じて取り扱う車を選びますので、日々のビジネスを通じて、需要の変遷が分かります。創業当初は、70〜80%のお客さまが米国車を希望されましたが、現在、取り扱うのは95%が日本車です。日本車を望むお客さまがほとんどなのです。以前は“アメリカ車”への憧れがあり、アメリカ車を選ぶお客さまが多かったという背景もありますが、その傾向が変化したのは日本車のクオリティーが良くなったことが大きな理由でしょう。世界経済や自動車の歴史をそのまま映し出していて、大変興味深いです。ガソリンが高くなったことで自然と、消費者としては米国の大きくてガソリンを食う車より、燃費が良い小さな車が欲しくなる…。小型車で技術を磨いていった日本車に競争力があったわけです。
また、年々地方からのお申し込みが多くなっています。ここ7〜8年で特に増えました。以前は駐在というと大都市がほとんどでしたが、今は米国内の各地方にある工場に駐在するために渡米される方も多いのです。私たちのオフィスはニュージャージーにありますが、お取り引きは米国内の30州ほどにまたがります。これも世界経済の推移を反映していて、興味深いですよね。
―御社のビジネス・スタイルにも変化があったのでしょうか。
加賀社長 いいえ、実はビジネス・スタイルには変化はありません。ただ、契約対象が変わりました。以前は契約者の70%くらいが法人で、残りが個人でしたが、(日本の)バブル崩壊後、経費節減の流れとともに法人での契約が減りまして。でも米国生活に車は必須ですから、その分、個人のお客さまが増えたのだと思います。
「リース」の認知度が上がったことも個人のお客さまが増えた要因の一つだと思います。創業のころの日本には車を入手する方法として「現金購入」以外の選択肢が無かったわけですが、米国では既に「リース」という手法が日常生活の中にありました。日本でもリースが浸透するにつれ、徐々に個人の方が利用しやすくなってきたのだと思います。
―クレジット歴がなくても、車を手に入れられる理由は。
加賀社長 端的に言えば、私たちがクレジット歴とは別の基準で審査を行っているためです。クレジット歴で判断するのは米国社会の常識ですが、日本人の顧客と日本人の私がお取り引きするわけですから、クレジット歴ではない方法で物を考えても構わないわけです。弊社のファイナンス元の銀行が長年の実績で日本人のリスクのなさを評価しているわけです。
―市場に変化がある中でもビジネスを30年以上にわたり続けていらっしゃいますが、長く続ける秘けつなどお教えください。
加賀社長 ビジネス・パーソンには自分で流れを作っていく方と、流れに乗っていく方がいますね。私は流れに乗っていく人タイプ。だからビジネスの秘けつというほどのものはないのですが、あえて言うなら「信用第一」、これだけです。信用をどう作っていくか、これが一番大事でしょう。それをどうやって得ていくかは、おのおの違う方法で皆さんやっておられると思いますが、きちんと(お客さまから)信頼していただければ、あとは良いうわさを皆さまが流してくださる。「あそこに頼ればいいよ」と言ってくださる。―それが全てです。

 〈プロフィル〉 かが・よしあき 千葉県出身。日本大学商学部中退、その後、昭和郵船入社。投資会社転職後、南米ベネズエラに赴任。退社後、同国で貿易会社設立。約10年後、米国に移住。同地で車リース会社を買収。現在に至る。趣味はゴルフ、カラオケ。座右の銘は「人を責める前に己を責めよ」

〈情報〉ニッポンオートリーシング(NAL)
【住所】2050 Center Avenue, Suite 575 Fort Lee, NJ 07024
【電話】201-666-8000
【営業時間】平日:午前9時~午後5時、土日:休み
【ウェブ】www.nippon-auto.com
【Eメール】kaga@nalauto.com

 

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