〈コラム〉加圧(かあつ)トレーニング 安全性確認されるまでは今までのウエートトレーニングがお勧め

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日本クリニック「医療の時間」第23診

ここ10年ほどで、加圧トレーニングについての書籍やプレゼンテーションが急増し、注目が集まっています。
加圧トレーニングというのは、圧力バンドを使うことで血流を止めずに制限しながらするトレーニング方法のことです。
去年、米国スポーツ医学会とサトウスポーツプラザ(東京都府中市)の間で共同研究が行われました。
今年の1月には、米国スポーツ医学会で日本と同じ加圧トレーニングの研究とさらに新しい研究開発をするため、2年間限定でプロジェクト10件までは各100万円の補助金が出されることになりました。
●どのようなトレーニングか
このトレーニングは、今までのウエートトレーニングとは違い、軽い負荷で、多めの回数行うトレーニング方法です。例えば、これまでのウエートトレーニングは最大負荷60%で、8から10回を1から3セット行い、加圧トレーニングの場合は最大負荷10%から15%で15回以上を3セット行います。
●効果
今までのところ、米国では加圧トレーニングの調査はあまりされていません。左記が日本で行われた研究での効果の要約です。
骨再生ホルモンの増加/骨吸収ホルモンの抑制/筋成長ホルモンの増加/筋肉量、筋力のアップ/炎症ホルモンの変化無し
●適している人
身体的ストレスを制限したい人には、重いウエートを使わないということと、関節にストレスをかけずにウエートトレーニングできるという利点があります。他の利点としては、リハビリ、理学療法などや入院期間の短縮。そして面白いことに、宇宙生活での骨と筋力低下を減少させます。
●安全性と効果
私の意見としては、加圧トレーニングの研究はまだ初期段階です。生物学上での、加圧トレーニングや身体反応や適応性については、少ししか理解されていません。現段階では、身体への安全性が確認されるまでは、今までの通常のウエートトレーニングをするほうが安全でしょう。
(次回は3月17日号掲載)

drvitale〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科。NY大学医学部卒業。NYUHarkness Center for Dance Injuriesにて資格取得。アメリカ大学スポーツ医学会(ACSM)、東京大学、欧州などで講演を行う。

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