スクリーニングの信憑性についてどう考えるか

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出生前診断11~ファースト・トリメスター スクリーニング検査から更なる精密検査である出生前診断へ(1)〜

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第46回

検査で標準値外の数値が出ても染色体異常を決定するものではない

前回(8月6日号掲載)までは、ファースト・トリメスターの簡易な出生前診断検査スクリーニングについての説明と、そのスクリーニングでダウンシンドロームやエドワードシンドロームの可能性を知ることができること、そしてダウンシンドロームについて説明してきました。

簡易な出生前診断検査スクリーニングの説明を終え、正確に調べることができる出生前診断の説明に入る前に、スクリーニングの信憑性についてどう考えれば良いのでしょうか。2種の検査がペアとなった血液検査と超音波検査の組み合わせのファースト・トリメスターのスクリーニングの意義は、妊娠期の早い時期にダウンシンドロームやエドワードシンドロームの可能性を知ることができることにある、と説明しましたが、スクリーニングで心配な内容が出てきた場合、どのくらい信憑性のあるものなのか、また、問題ないと出てきても実際、間違いなく正常であることを示しているものであるのかについて説明したいと思います。

このファースト・トリメスターのスクリーニングは直接的に染色体異常を検査するものでも、特定の疾患や症状を検査するものでもありません。スクリーニング結果は、単に、赤ちゃんのなんらかの異常の可能性を統計上の確率を示すものです。スクリーニングテストで“標準値から外れている”という結果が出たとしても赤ちゃんに染色体異常がある、と確定したのではなく、染色体異常のリスクが統計的に見て上昇していることを示唆しているにすぎません。

弊社では多くの代理出産ケースも扱っています。多くの代理母たちの管理を、代理出産チームと共に行い、弊社クライアントに毎月、代理母の妊娠状況をお伝えしていきますが、10ケースに1〜2件はこのファーストトリメスターでのスクリーニング検査で標準値から外れる、という結果が出ます。この6年ほど、年間15件ほどの代理出産ケースを行っていますが、今までこのファースト・トリメスターで標準値外が出て後、精密検査である出生前診断を行って、弊社に限って言えば、実際に染色体異常が確定されたケースはありません。また、このファーストトリメスターで標準値外の数値が出て、出生前診断で問題なし、と出た全ケースで、出生前診断通り、健康なお子さんが出生されています。弊社のサンプル数(おおよそ総計100ケース)は多くはありませんが、このことは、ファーストトリメスターでのスクリーニング検査で標準値外の数値が出ても、染色体異常を決定するものではない、ということを示していると言えましょう。

(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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