代理出産という選択(1)

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妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第11回

ここ最近、代理出産で子供を授かったという日本人の話もちらほら聞こえてくるようになった。日本では法整備が追いついておらず、倫理的観点から日本国内での代理出産はまだ認められていないが、米国の多くの州では不妊治療の手段の一つとして近年積極的に行われており、代理出産の事実を公表するセレブも多い。キム・カーダシアンやサラ・ジェシカ・パーカーをはじめ、東京五輪の水泳高飛び込み種目で金メダルを獲得した英国のトム・デイリー選手が代理出産を通じて男性パートナーとの間に男児を授かったことは大きな話題となった。

6人に1人が不妊といわれる時代。不妊治療の進化により、多くの人が高度生殖医療を通じて妊娠・出産することが可能になったが、身体的理由で妊娠・出産がかぎりなく不可能な人たちもいる。それでも子供が欲しい、そう強く願う夫婦やカップルにとって「代理出産」は新たな不妊治療の選択肢となりつつある。

代理出産とは

代理出産(サロガシー)とは、何らかの理由で子供を授かることができないカップルたちが自らに代わって第三者の女性に妊娠・出産を委託すること。さらに代理出産にも二通りあり、一つは依頼したカップルの男性の精子を直接代理出産する女性に人工授精する代理出産(サロゲートマザー:Traditional Surrogacy)、もう一つは代理出産を依頼するカップル両者の卵子と精子、もしくは第三者から提供された卵子(精子)とパートナーの精子(卵子)を体外受精させ、その受精卵を代理出産する女性に移植する代理出産(ホストマザー:Gestational Surrogacy)。後者の場合、生まれてくる子は代理母と生物学的なつながりがない。つまり、自力で妊娠・出産することはできないが、自分たちと遺伝的つながりのある我が子を授かることができる可能性もあるというわけだ。ニューヨーク州では今年2月にこのGestational Surrogacyが法律で認められ、今後ますます代理出産を試みるカップルが増えるとみられている。

なぜ代理出産を選ぶのか

「できれば自分のお腹を痛めて子供を産みたい」─。母になることを望む女性ならほとんどの人がそう願うだろう。しかし、先にも述べたように自身の力ではどうしても妊娠・出産が不可能な人もいる。子宮を全摘出した人や子宮欠損、子宮奇形、ロキタンスキー症候群、重度の子宮筋腫/子宮腺筋症など、先天的または後天的に子宮に問題がある人、複数回の体外受精を試みたが良い結果が得られない場合、心臓疾患など健康上の理由から自身での妊娠、出産が医学的に困難であると判断された場合など。そのような人たちにとって、代理出産は最先端生殖医療技術が生み出した画期的な選択肢なのである。

性別の枠を超えた不妊治療

不妊の悩みを抱えるのは男女のカップルだけではない。ゲイカップルも2人の間に子供を望み、代理出産という選択をする人たちが増えてきた。性別や身体的な枠を超え、子供を持ちたいという願いを叶える代理出産という選択。法的、心情的、経済的な問題も山積みではあることは事実。けれど、それらの問題と並走しながらもかけがえのない我が子を手にすることのできる最先端の不妊治療であることは言うまでもない。次回は、代理母や代理出産のメリット・デメリットなどについてお話する。

(次回は1月15日号掲載)

 

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