意外と多い男性不妊

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妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第6回

WHO(世界保険機構)によると現在、男女の夫婦・カップルの約15%が不妊の問題を抱えており、そのうち、原因が「女性のみ」にある場合が約41%、「男性のみ」が約24%、「男女両方」が約24%と言われている。つまり、不妊の原因の約半分は男性側にあり、不妊を疑う際は、女性だけでなく男性も検査することを当クリニックでは強く勧めている。

精子のトラブルが招く男性不妊

男性不妊には「良い精子が多く出ない」「通路が塞がっていて精子が出ない」「性行為ができない(勃起障害等)」など、女性不妊同様さまざまな原因があり、中でも精子のトラブルがその多くを占めている。

例えば、「乏精子症」はその名の通り、精液中の精子の数が少ないことによって起こる。正常な精子数は精液1ミリリットルあたり1500万個以上、そして自然妊娠には、一度の射精で1・5ミリリットル以上の精液が必要とされている。ただ、精子の数だけでなく、運動率、奇形率も総合的に見て判断される。精子の運動率低下が招く「精子無力症」や精液の中に精子が全く見られない「無精子症」も同様に不妊原因の多くを占めており、これら精子のトラブルは、精液検査によって見つけることができる。

正しい検査結果を知るためには

初回の精液検査の結果で異常値が出ても心配する必要はない。精子数は変動する可能性があり、少なくとも二度の検査を受け、二度とも異常値が発見されて初めて不妊を疑う。そして検査前に3〜4日間の禁欲期間を設けることも、正しい検査結果を知るために必須なのだ。

また、男性の精子は生活習慣から受ける影響も大きい。つまり、1回目の精液検査で異常値が発見された後、生活習慣を見直すことで、精子の状態が改善される可能性も十分にある。健康的な食生活、適度な運動、禁煙、ストレスの軽減をはじめ、過度のアルコールやカフェインの摂取を控えることは精子の質向上に貢献する。逆に、筋肉増強剤などのサプリメントの摂取は精子の生成を妨げるほか、精巣が温められると精子生成能力が低下するため、長風呂やサウナ、長時間ラップトップを膝の上に置くことは避けるべきである。

手術により自然妊娠が可能になることも

もちろん生活習慣の改善だけでは解決できない問題もあり、その際は投薬治療や外科的手術が必要となる。精巣の静脈に血液が逆流することで起きる精索静脈瘤は乏精子症や精子無力症を引き起こし、後天性の男性不妊原因の代表でもある。顕微鏡を用いた手術で瘤を取り除くことができ、それにより自然妊娠も可能に。また、閉塞性の無精子症(精子があってもその通路が塞がっている)の場合は、手術によってその通路を再建することができる。もしも閉塞が修復できなかったり、精子が精液中に出てこない場合、また射精障害を抱えている場合は、精巣精子回収術(TESE)によって精巣から直接精子を取り出し、顕微授精(ICSI)によって受精、妊娠を試みることが可能となる。

その際、また人工授精や体外受精の際、当クリニックでは、最新の精子セパレーター「ZyMōt™」を用いてより良質で運動率の高い精子だけを抽出。好条件の精子だけを卵子と受精させることで、高い妊娠成功率を導く。この十数年での不妊治療技術の進化は、女性に対してだけでなく、男性に対しても大きな福音となっているのは言うまでもない。

(次回は8月第2週号掲載)

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