〈コラム〉モノの価値を評価する力

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第82回

ホリデーシーズンに入り、ショッピングモールに行く機会が増えてきたのではないでしょうか。職業柄、日々数字に触れているせいか、私はショッピングをする時、損得を良く考えてしまいます。世の中には普段の値段よりも安く買える機会があることも確かですが、騙されることも少なくありません。リスクを回避するにはモノの本当の価値を評価する力が必要になります。

先日、たまには妻に感謝を伝えようと想い、欲しがっていた高級ブランドのカバンを一人で下見に行きました。お目当ての高級ブランドの正規販売店に行き実際の商品を手にとって見たのですが、さすがに高品質でした。良い職人が作ったカバンは裏地の縫い目も整っていると聞いたことがありチェックしてみたのですが、その通り綺麗に整っていました。ただ、値段もさすがに高価でした。その時、同じブランドがアウトレットモールにもあるという情報を得ました。アウトレット店に行くと全品60%割引とサインが出ていました。欲しいものに似たようなデザインのカバンはあったのですが、手にとって見ると表の縫い目でさえガタガタで質はよくありませんでした。ブランドマークが入っているからといって、そのカバンを買うことに抵抗があり、結局、正規販売店に戻り、気に入っていたカバンを定価で買いました。少し予算オーバーでしたが、価値があるプレゼントができたと納得いきました。

ビジネスを買う時にも価値評価ができる力が大切になります。クライアントによっては、ビジネスを買ったあとに私のところに来るケースもあるのですが、特に日本人は高くビジネスを買っていることが多いように思います。なぜ価格に同意したかという理由を聞くと、「相場はこのようなものだと聞いたから」、「売り手の販売成績レポートをみせてもらったから」など聞きます。

その会社が現在出している利益がこれからも続くことを予想して評価するのか、似たような会社の価格をみて同じような金額で評価するのか、その会社の資産の現在価値を評価するのかなどビジネスの評価方法もいくつかあります。当然、売り手は自分のビジネスを高く売りたいので、高く評価できる方法を選んでいる可能性は高いです。特に相手が用意するリポートは注意が必要です。

会計士などの専門家に相談することは必要だと思いますが、全てを頼るのではなく、基本的な価値評価の知識や自分なりの規準を身に付けておくことが大切だと思います。

(次回は1月第2週号掲載)

 

business-kusaka-takeshi〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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