新型コロナウイルスの帰国生入試への影響

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入試や学校説明会、相談会のオンライン化が進む?

「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人


世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、北米に暮らす皆様も不便で不安な生活をお過ごしのことと思います。いつ終息するかも分からず、先行きが不透明ですが、今後の帰国生入試にも様々な影響を与えることになるでしょう。

まず、4月25日現在は、多数の学校が臨時休校中です。臨時休校中の学校では編入試験や手続きができないため、編入学希望者の受け入れを中断しているところもあります。このまま臨時休校の状態が続くと、これから早い時期に帰国予定の方は、編入学が遅れる可能性もあります。また、編入学できたとしても、学校には通学できないということもあり得ます。

次に、夏休みの学校説明会や学校見学会(オープンキャンパス)などを中止する動きも出ています。多数の人々が一つの場所に集まることが心配であるとか、臨時休校した分の授業を夏休み中に行うため手が回らないなどの理由があります。今年の秋以降に帰国予定で、夏休みを利用して、学校見学を予定している方にとっては、残念なことでしょう。

そして、新型コロナウイルスの感染拡大の終息が長引くと、例年9月~12月に実施されている海外での入試や学校説明会、相談会などにも影響を与える可能性もあります。

このような状況下での対応として予想されるのは、オンラインでの実施です。日本の教育現場では、デジタルテレビや教員用コンピューター、インターネット環境下での児童生徒用タブレット端末などの情報通信技術(information and communication technology)を活用したICT教育が進みつつあるものの、オンライン授業には消極的でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校期間が長期化し、オンライン授業を実施する学校も目立つようになっています。また、これまでも、入試の面接や個別相談をオンラインで行っていた学校もありますが、今後は、学校説明会や入試の学力テストもオンラインで行う動きが加速化すると思われます。

しかし、オンラインで公正な入試が実施できるのかどうか、学校紹介ビデオのような映像資料だけで学校の様子を感じることができるのかどうかなどの問題があります。また、受験生サイドでもオンラインで入試や学校説明を受ける環境があるかどうかも問題です。自宅のパソコンにカメラやマイク機能があるのかどうか。入試問題や資料を印刷するプリンターがあるのかどうか。答案や書類をメールで送るためにデータ化するスキャナーがあるかどうかなどが挙げられます。今後、いろいろな学校が、このような問題をどう解決し、どのようにオンライン化が進んでいくのかを注視したいと思います。

(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校北米担当などを務める。他にサンディエゴ補習授業校教務主任。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

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