〈コラム〉集夢計画34 「異郷から故郷へ」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第39回

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絵画展会場で集夢計画のために開いてくれた座談会の様子

映画制作を目指した集夢計画を広めるべく、先月から台湾に来ています。屏東(ピントン)県主催の絵画展「グッド・いつも太陽のように」は10月9日から26日まで県庁舎で開催され、その間にマカオ理工学院ビジュアルアート科の大学生との交流会もありました。10月31日からはニューヨークから運んできた「ザ・ピンク“いいね”カー」のイベントが台北を皮切りに台湾各地を巡回予定です。
屏東は台湾の最南部に位置する暑い土地柄。農業が盛んで、朝の定時になるとニワトリが鳴くのどかさは、私が育った田舎に似ています。到着した日、急に雨が降り出し、剪定したばかりの木々と土の豊かな香りは懐かしく、太陽、空気、水、食べ物の味、すべてが新鮮で私の五感を全開にしてくれました。町を歩いて見つけた竹田駅に隣接する「池上一郎博士文庫記念館」では、3人の老人が流暢な日本語で、軍医だった池上医師の功績を話してくれました。また、村には戦時中、日本の神風特攻隊の整備士だったという90歳を超えるご老人も健在だとか。日本との所縁が深いことに驚きました。
三十数年前に故郷を離れて以来、ずっと異郷の地でアートを生業としてきましたが、私の作るものにはいつも故郷の思い出が入っています。今回は私の大好きな果物が主役で、自然と共に暮らし、美味しい果物を作り続ける農村の人々に敬意を払い、その素晴らしさを伝えるのが目標です。昨年3月から1年かけて1万枚の軍手を集め、2カ月半をかけて5月にピンクカーが完成。ニューヨークで展示した後、海を渡り台湾までやってきました。映画を作る夢を最後まであきらめない、ネバーギブアップの精神をピンクカーで広めていきます。さあ、第2弾の始まり、始まり。結果を乞うご期待!
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(次回は1月第2週号掲載)
ShipPaoLin-1 〈プロフィル〉 リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。
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