〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第75回

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スラックスについて

manloseweight 今回はスラックスについて少し書いてみましょう。slacks、pants、そしてtrousersといった単語が“ズボン”のことを意味しますが、この国で最もポピュラーなのはpantsでしょうか。pantsは、イタリア語やフランス語のpantalonsなどが英語化した言葉と言われていますね。縫製業界は昔からイタリア系ユダヤ人が多いのです。一方、英国ではtrousersという単語を用いることが多いです。そして、全ての単語にsが付くのは、足が2本だからですね(笑)。a pair of pants、ですものね。(笑)
皆さんの多くは、既製品のスラックスを履かれておられるかと思いますが、本当はスラックスほどカスタムメード(自分に合わせて作る)されるとその違いが分かりやすいものはないのです。既製品は売る側の在庫管理の都合上、ウエストサイズで表示されることがほとんどですが、本質から言えばそれは誤りなのです。スラックスにおいてはウエストとヒップのサイズ、どちらを優先させるべきなのかと言えば、それはヒップであるべきなのです。既製品であっても、きちんとしたお店やブランドの品物であれば、ウエスト部分の縫い代は、7センチ程度取られていることがこの国では普通です。日本ではJIS規格にのっとり、ウエストサイズを大きく直せてもワンサイズ程度、つまり2センチ程の縫い代しかないのです。要するに欧米の既製服においては、ヒップのサイズで合わせて、キツめなウエストを大きく補正することが可能なのであり、そしてむしろ、その方が大きめのウエストサイズを小さく補正するよりも、スラックス全体のシルエットはずっときれいに仕上がるのです。もう一つ、ウエストサイズだけでなく、SやR、Lなど付随する表示にも注意をしましょう。SはShort、RはRegular、LはLongの意味です。同じ32や34のウエスト表示でもSとRとでは、想定された身長の違いから、股上の深さやシルエット(ヒザ幅や裾幅など)が異なってくるのです。ご参考までに。 (次回は12月第2週号掲載)

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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