〈コラム〉「COACH A」竹内 健 「対話で変える!」第13回

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対話の力(13)〝アカウンタビリティ〟(その3)

こんにちは。COACH Aの竹内です。前号では、部下のために時間を取っている、と自負する上司(Aさんとします)と、実はその対応にうんざりしている部下のお話をご紹介しました。今号と次号では、そのケースをもとに、アカウンタビリティな状態になる、特に、上司が自らの振舞いや行動を客観視し(今号)、その後、コーチングを使ったコミュニケーションによって部下のアカウンタビリティを引き出していった(次号)事例をご紹介します。
コーチングの中では、インタビューやアンケートを通じて、複数の部下から匿名で上司のリーダーシップやコミュニケーションに関する情報を収集し、その上司にフィードバックします。
前回ここでご紹介した上司のAさんも、部下の方たちからのフィードバックを受けました。Aさんは、元々、「部下のための時間を取っているため、部下たちからは感謝されているに違いない」、と考えていました。しかし、部下たちの回答は、「二者択一を迫られることが多く、前向きな気力を削がれる」という、ネガティブなものでした。
自分の認識とはまったく反対の状態にあるという事実を知ったそのAさんは、非常に驚きショックを受け、しばらく声を発することさえできませんでした。
「部下の皆さんは、Aさんとの時間をどういう時間に変えていきたいのでしょうか?」、「これまで部下の方たちに接してきたご自身を、第三者の視点から見てみると、どんな上司に見えますか?」
そうした質問を通じ、Aさんはそれまでの部下とのやりとりを相手の立場に立って考えてみること、また自分自身を俯瞰してみるようになったそうです。これまでの接し方を自ら変えなければいけないという意識が芽生えてきたともおっしゃっていました。
第三者からの「フィードバック」や、さまざまな角度、視点からの「問い」は、自分を俯瞰する、相手の立場でモノを考える機会になることがあります。“部下からは違った受け取り方をされているのかも”という見方に気づいたAさんは、“変えるべきはまず自分から”と、自ら主体的にとらえて行動する、すなわち、「アカウンタブル」な状態になるきっかけを掴んだのかもしれません。
次回は、Aさんが自らコーチングを行い、いかに部下の方たちのアカウンタビリティを引き出されたのかを考察します。
(次回は1月第2週号掲載)

02222coach_a 〈プロフィル〉竹内 健(たけうち たけし)
エグゼクティブ・コーチ(COACH A USA 取締役 CFO)
PricewaterhouseCoopers LLPにて異例の日米5都市を異動しつつ、公認会計士として日米欧の企業や経営者へのサポートを行う中で、ソリューションの提供だけでなく対話を通じた人への投資があってはじめてクライアントのパフォーマンスが発揮されることを痛感し、これまた異例の会計士からの転身をはかり現職。
【ウェブ】www.coacha.com/usa/

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