〈コラム〉「健康な歯のために」いしばし歯科 石橋香也子【第11回】

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口呼吸について

普段、無意識にしている呼吸ですが、しっかりと鼻で呼吸しているか、一度考えてみてください。
哺乳類の中で口呼吸ができるのは人間だけで、その人間も生まれた時は鼻で呼吸をすることから始まります。離乳食が始まり、指しゃぶりやおしゃぶりをやめるあたりから、口で呼吸することが習慣化していくのです。

健康への弊害
私たちは、鼻から呼吸することで外気中の異物や病原菌を8割ほどカットしています。一方で、口はもともと消化器官で、呼吸器官ではないため、口呼吸では空気中の有害物質などを除去することなく、そのまま体内に取り込んでしまうのです。その他にも、乾燥した冷たい空気が体の中に直接入ってきてしまうので、口腔内や喉の乾燥を招き、免疫システムの一つである扁桃組織に損傷を与える要因にもなります。また、外気が気道を通過することによって低体温を引き起こし免疫が低下したり、その結果、アトピーや喘息、リウマチなどさまざまな病気が起こることもあります。
また、口呼吸をすると口を開けたままの状態になるため、唇を閉じる筋肉がゆるんだままになってします。すると、前歯を内側に押す力が弱くなり前歯が出っ張った状態になります。上の前歯が常に唇から出ている子供は一見出っ歯のように見えますが、その多くは、上あごと下あごの横幅が狭くなり、歯並びも悪くなり、相対的に出っ歯になる原因です。また口臭、虫歯、歯周病にもなりやすくなります。

鼻呼吸の重要性
鼻で呼吸することは人間にとって大変重要なことです。鼻呼吸はゴミなどが除去だけでなく、空気の加湿・加温、熱を持った脳を冷やすといった役割があります。
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口呼吸は子供の時に治すことが一番です。アレルギーや喘息、鼻炎などによってなる方もいるので、まずは原因を突き止めることが大切ですね。診断や治療は耳鼻科か歯医者さんでできますので、相談してみましょう。口呼吸は百害あって一利なしです。早めに治療して鼻呼吸の癖を付けるようにしましょう。
(次回は4月第3週号掲載)

 

0419ishibashi-face〈筆者プロフィル〉石橋香也子(いしばし かやこ) ニューヨーク大学歯学部卒業。ルーセラン・メディカルセンターで一般歯学の臨床研修課程修了。
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