〈コラム〉USCISの会社査察プログラムがL―1ビザの雇用者にも拡張

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米国市民権・移民業務局(USCIS)は、同局の詐欺監視国家警備(FDNS)プログラムの下、会社査察をここ数年間行ってきました。このプログラムに従って、USCISの職員はあらかじめ告知することなく雇用者の仕事場を訪れて、特定のビザの申請ケースを追跡し、雇用者と被雇用者が申請した時の情報に沿っているかどうかを判断します。最近までUSCISはH―1Bビザの雇用者を集中的に査察していました。しかしUSCISは会社査察のプログラムを拡張しており、L―1ビザの雇用者もその対象になりました。L―1ビザの会社査察はまだ広く実施されてはいませんが、今後より頻繁に発生することになりそうです。

会社査察をL―1ビザの雇用者に拡大する動きは新しいものです。L―1ビザは、日本やその他の国の親会社から米国内の子会社に移管されたマネジャーおよび専門職の被雇用者に発給されるものです。外国の企業が米国内に新しいオフィスを築いたときに、USCISはL―1ビザを1年間発給します。その1年間の期限が失効する前にL―1ビザは「延長」を申請する必要がありますが、USCISはそのサービス・センターにファイルされた「新オフィス」の延長ケースに的をしぼっているようです。
USCISの査察官は、L―1ビザを保有している被雇用者の職務をレビューし、被雇用者がL―1Aのエグゼグティブ・マネジャーあるいはL―1Bの専門知識労働者の分類と矛盾がないかを判断します。いくつかの報告によると、査察官はL―1ビザの被雇用者が職務の種類および経験水準と矛盾がないかどうかをみるために、給与もレビューしているということです。
会社査察は以下のことを確かめるために実施されます
◦雇用者が実在すること
◦雇用者の移民ビザ申請時の情報の妥当性
◦外国人の被雇用者が米国のビザの条件に従っているかどうか
通常査察官は事前通告なく会社を訪れます。アポイントメントをとるために、雇用者にあらかじめ連絡する場合もあります。査察官は通常30分から90分の間会社にいることになります。査察官はHRのマネジャー、外国人の被雇用者そしてその直接の管理者に話しをすることを求めます。被雇用者の給与記録の提示を求めることもあり、オフィスの写真をとることを求めます。
会社査察の後、査察官は追加情報を求めて雇用者に連絡をとることがあります。
提供された情報とビザの申請との間に相違があると査察官が判断した場合には、雇用者にビザ申請の無効の意図を通知し、雇用者にその相違について説明する機会を与えることになります。
雇用者の方々は、会社査察の可能性に対して準備しておく必要があるでしょう。HRや総務のスタッフに、査察官の質問に的確に答えるよう準備を求める必要があります。これらのビザの問題については、弁護士に相談することもできます。
(次回は3月第4週号掲載)
〈今週の執筆事務所〉リチャード・ニューマン法律事務所
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