5月はハーレム・ジャズ祭り

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Harlem_column

トミー富田「ハーレム浅草下町考」Vol.37

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約40年ぶりに1階のレストランだけ再オープンしたハーレムルネッサンスのシンボル“ホテル・セシル”

 今年で4回目を迎える「ハーレム・ジャズ・シュラインズ・フェスティバル」。5月4日(日)〜10日(土)の1週間、現存する数少ないハーレム・ルネッサンス時代のべニューに、ハーレムを「ジャズのメッカ」と言わしめた輝きがよみがえる。
そのひとつが、昨年10月に満を持して再々オープンした「ミントンズ」。
約70年前、ハーレム118丁目ホテル・セシルの中にあったミントンズ・プレイハウスで録音された「チャーリー・クリスチャンのミントンズ・プレイハウス」という1枚のレコードが、モダンジャズの元となる新しいジャズ”ビバップ”誕生の証となった。ディジー・ガレスピー、セロニアス・モンク、チャーリー・クリスチャン達の貴重なライブ盤である。

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外観、雰囲気はガラリと変わったがミントンズ・プレイハウスのシンボル〝ミューラル(壁画)〟は健在

 1974年に閉店したが、建物はアメリカ合衆国国家歴史登録財として残り、その後、俳優のロバート・デニーロが買収すると一時話題になった。2006年、ハーレムで人気のジャズクラブを経営していた私の友人が再オープンさせたが、10年にはまた閉店。そして昨年10月に、オリジナルのネオン看板も外され、白人オーナーにより全く違うスタイルで再々オープンした。ドアマン付きの2重扉、隣のセシル・レストランから運ばれてくるセレブシェフによるアフロ・アジアン・アメリカン料理はメインディッシュ40ドル前後、シェフのお勧めプリフィックス90ドル、という高級ジャズクラブとなったが、フェスティバル中なら、入場料10ドルとドリンク&アペタイザーミニマムでバーでジャズを楽しめる。是非この機に足を運んでみるといい。
(次回は6月第2週号掲載)


〈筆者プロフィル〉トミー富田(トミーとみた) 東京浅草生まれ。ハーレム在住23年の音楽プロデューサー。1994年にアジア人初の「Dr. マーティン・ルーサー・キングJr. アワード」を受賞。ハーレム商工会議所会員。アポロ劇場ボードメンバー。20年以上続けている大人気の「トミー富田のハーレムツアー」は、日本からのファン、リピーターが多いことでも有名。■トミー富田のハーレムツアー 電話:646・410・0786 ウェブ:tommytomita.com

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