〈コラム〉Mimicで成功再現 業界越えて成功事例をアレンジして

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第1回

このアメリカ経済が低迷している中でも、日本食業界はまだまだ伸びているように思います。私はもともと日系食品商社の営業としてキャリアを積み、レストランやグロッサリーなど延べ200件以上の顧客を開拓しました。その時に、たくさんの方たちから、いろいろなことを学ばせていただきました。
新人の頃は、同業他社の商品との違いなど質問されるとてんてこ舞いでしたが、その質問に答えられた時の充実感を味わうために、日々、一所懸命、約4000もある商品リストを覚えたものです。基本的に人と接することが好きな私は、たくさんの質問をいただけるようになりました。最初は商品の質問が多かったのですが、オーナーさんたちからは、経営の改善策や税金対策、従業員さんたちからは、独立(会社設立)の仕方まで質問されるようになり、幅広い知識の必要性を感じました。実は、それが私が公認会計士に挑戦したきっかけでした。
現在は会計士として会社設立時のアドバイスや税務関連の仕事を中心にしていますが、食品業界の顧客の皆様からは、経営についてのアドバイスも求めていただいております。私を育ててくださった方々に対する恩返しのためにもこのコラムがお役に立てればと思います。
私が営業回りをしていた頃、繁盛をしている店、逆に倒産してしまう店をたくさん見てきました。アメリカで初めてビジネスをスタートする方たちは、自分なりのすばらしい戦略をもって経営をスタートしますが、多くの場合、“思っていたより厳しい”という感想を聞きました。しかし、そこから繁盛していく方たちの共通点は、たくさんのお店回りをしている営業マンから他の繁盛店の話を聞こうとすることでした。
ビジネススクールで教わる戦略論の基本に“Mimic”というものがあるそうです。直訳すると「マネをする」ですが、ビジネスの世界では「再現する」の意味で使われます。自分の置かれている環境を熟知して、同じ環境で成功している事例を分析し、その戦略をアレンジ、そして自分のビジネスに当てはめることが、一つの成功のポイントだと考えられます。食品業界だから、同じ食品業界だけを参考にするというものではありません。大手食品業界のチェーンが、ユニクロからアイデアをもらったという話も聞きます。
日本では、「マネをする」という言葉からあまり良い印象は得られませんが、成功事例をアレンジして、是非、それを自分なりに“Mimic”「再現」してください。
(次回は3月3日号掲載)
(「WEEKLY Biz」2012年2月4日号掲載)

takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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