〈コラム〉自分を知ることが、成功の第一歩(RBV、SWOT分析) 自分の強みにさらに磨きをかけて

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第2回

最近、マンハッタンを歩いていると新しいお店が出店したり、閉店したり、回転がすごく速いように思います。特にレストラン産業の出入りは激しく、まさに戦国時代のようです。
生き残りに勝つには一種の戦略が必要だと思います。前回(2月4日号掲載)は「Mimic(再現)」について説明しましたが、成功例ばかりに頼っても勝てません。自分の強みを知り、それを生かした戦略が必要です。日本ではあまり知られていない手法ですが、「RBV(Resource based View)」というものがあります。自分の持っている経営資源を分析して、それを環境に合わせて如何に有効利用するか考える手法です。経営資源は大きく3つに分けることができます。(1)有形資産(2)無形資産(3)能力です。
例えば、人通りの多い通りで成功しているテイクアウト形態の寿司レストランオーナーから、“最近は路地奥に高級イタリアンのレストランができて、お客さんも入っているようだ。家賃も安いだろうし、あのスタイルのほうが儲かるのかな”と相談を受けたとします。このテイクアウト形態の寿司レストランを分析すると、
(1)有形資産:人通りの多い通りの店舗
(2)無形資産:健康食ブームに乗った日本食というブランド
(3)能力:一流の職人さんを使わないで低コストで美味しい巻物を作る技術
仮にこのオーナーさんが同じノウハウだけで高級イタリアンレストランを出店しても難しそうです。逆に、少し離れた場所に客層やロケーションなど同じような環境を見つけ、2店舗目を出した方が成功しやすいのではないかと思います。
アメリカでは「RBV」が知られていますが、日本では「SWOT分析」というのが有名です。Strength、Weakness、Op-portunity、Threatの頭文字をとったもので、事業を取り巻く環境をきれいに整理できます。前述したテイクアウト形態の寿司レストランを分析すると、
(1)Strength:低コストで美味しい巻物を作ることがでる技術
(2)Weakness:食通をうならせるほどのおいしさではない
(3)Opportunity:不況で消費者の低価格志向が強い
(4)Threat:消費者が外食しない傾向が高まっていること
私もそうですが、日本人の特色としては、どちらかというと弱点克服に時間をかける傾向が強いです。しかし、この店が力を入れるところは、食通をうならせるほどの寿司を提供するために時間やお金を使うことではなく、今の質を維持しながら、さらに低価格戦略に磨きをかけることが最善策と思います。
RBVやSWOTというのは、ビジネスだけではなく、自分の生き方についても使えます。皆さんも自分の強みにさらに磨きをかけ、成功してください!
(次回は4月7日号掲載)

(「WEEKLY Biz」2012年3月3日号掲載)
takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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