〈コラム〉Dr. Clara Lee「歯のおはなし」25回

0

Do Bigger Ears Mean Less Teeth?

耳が大きくなると歯が少なくなるの?

皆さん、高齢者の耳は大きいと思われたことがありますか? テキサス、英国、イタリア、日本で行われたリサーチで耳の輪郭、長さも加齢に伴って大きくなると報告されました。加齢による肉体の衰退はありますが、なぜ耳が大きくなるのかは謎だということです。
私はこの記事を読んだ時、お金を使ってこのようなリサーチをするんだと少しびっくりしました。私が歯に興味があるように耳に興味がある人たちがいるということでしょうか。
◇  ◇  ◇
不幸にも歯は耳と違い加齢に従う成長はありません。歯は自己回復もしないし、永久歯は生えそろえば成長しないばかりか、加齢で歯の摩耗、咬耗(こうもう)による歯の喪失がで起こります。それもそのはず、口腔内環境は耳に比べ激しいものがあります。食べ物を噛(か)み砕き、歯をすりあわせ、歯ぎしり、歯磨き、酸度の高い食品、飲み物による歯の刺激、スポーツによる衝撃、および虫歯、歯に悪い習慣(歯で缶を開けるなど)などなど、歯は耳よりも損傷を受けやすいのです。それに一度、虫歯治療した歯さえ油断なりません。後で再び虫歯になる可能性もあり、そうなると治療は大がかりになり、大きな修復物が入ると歯は弱くなりやすく、ヒビが入る可能性も出てきます。そのためクラウンを被せて歯を破損から守る必要も出てきます。歯を失くした場合に、ない歯を補うためのブリッジ、入れ歯、もしくはインプラントが必要になりますし、神経治療が成功しないケースでも抜歯になり歯を失うこともあります。歯並びが悪いとブラッシングがうまくできず虫歯になりやすく、歯茎が後退することで歯根が露出すると知覚過敏になりやすいだけではなく、虫歯にもなりやすくなります。私たちの歯はこのような起こりうる過酷な環境で役目を果たしてくれているのですね。
しかし加齢が原因で歯を失うことはあるのでしょうか? 加齢に伴う口腔内変化はあるとしても、それに合わせて日ごろからの口腔内ケアの良し悪しが大きく関わっています。今は、年をとれば“入れ歯”になることが当たり前に思われていた時代ではありません。年齢を重ねるほど、口腔内ケアは重要になってくるのです。丈夫な歯で食事ができることは言わずとも体の健康、生きている喜びも感じさせてくれるはずです。
どうぞ、ご自分のかけがえのない歯、たとえそれがパーフェクトな歯じゃなくても、しっかりとケアしてください。高齢で大きい耳になったからと言って歯が少なくなりませんように!
(次回は11月10日号掲載)(「WEEKLY Biz」2012年10月13日号掲載)

〈プロフィル〉Dr. Clara Lee ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院でチーフレジデンス修了。13年以上に及ぶ臨床経験は一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care院長として古山医師と共に、多くの日本人患者さんを治療。Dentistryをこよなく愛している。記事提供:Waterside dental Care(Tel:212-683-6260)

過去の一覧

Share.