出生前診断である羊水検査(3)

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出生前診断33
~妊娠第2期:セカンド・トリメスターの出生前検査(6)~

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第68回

現在、妊娠第2期のスクリーニング検査で、染色体異常の可能性があり得る、と出た場合に、正確に診断したい妊婦に行われる出生前診断である羊水検査について説明を継続しています。

99%以上正確なこの羊水検査の結果は通常10日から14日間かかります。羊水検査が実施される時期としては、通常、妊娠16週から18週で、早くて13、14週に、遅くて23、24週でも可能である、と言われています。しかし、22週以降は羊水検査を受けることによって妊娠への流産のリスクが高まる、とも言われています。複数の専門家からこのリスクの上昇を示唆され、羊水検査を行わない選択をした弊社のクライアントのケースがまさに先週ありました。この10年間内の文献には、羊水検査は非常に安全で、羊水検査を行うことによる流産の可能性は1600分の1と言われています。ただ、このリスクも、文献や発信元にもより、流産のリスクは1%、と伝えている場合もあります。しかし、22週以降の場合、3%、それ以上の流産のリスクに上昇すると説明されていることも多いので注意です。22週以降の羊水検査の実施については専門医の意見が分かれるところです。重要な決断であるため、前もって慎重にタイムラインを計画すべきでしょう。また、担当医からの連絡のみに依存せず、妊婦である自分自身で積極的に担当医に相談しましょう。あってはならないことですが、担当医は多くの患者を管理しており、連絡や指導が遅れることもあり得ます。時期がずれるとリスクが上がり、行えないこともあり得ます。

よくある質問では、精密である出生前診断の二つであるファースト・トリメスターで行われる絨毛検査(CVS)と、セカンド・トリメスターで行われる羊水検査とではどちらを選択するべきか、があります。精度は前者は98%、後者は妊娠が更に進んでいる時期であることもあり99%以上です。しかし、前者は早くに染色体異常についての結果を知ることが出来る、という利点があります。しかし、脊椎破裂、二分脊椎などの神経管疾患を知ることはできないため、これらの疾患について調べたい場合は羊水検査を選ぶことになります。また、両者とも、すべての赤ちゃんの疾患や異常を調べることが出来るものではなく、これらの検査結果が正常であったとしても、赤ちゃんに全く異常がないことを保証するものではないことは理解しておきましょう。

(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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