「徳不孤必有鄰」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第12回

アメリカにある台湾の13団体が共同して募金活動中。私(前列右から2番目)も応援しています

アメリカにある台湾の13団体が共同して募金活動中。私(前列右から2番目)も応援しています

3月11日金曜日、東北関東大震災発生。一瞬のうちに、そこにある全てを波が飲み込み、残されたのは瓦礫(がれき)の山。放映される凄まじい光景を見て、本当にあれが日本で起こっていることだろうかと愕然とし、涙が出ました。

「毎年梅酒作りを楽しみにしていた梅の木も家もない」「つないでいた子供の手が離れ、それきり分からない、本当に一瞬だった」「温泉に連れて行ってあげたかった両親が見つからない」「私の嫁に来なければ、死ななかったのに」「ここ(寒い避難所)で生き延びれるか分からない。家族と会う前に私が死んだら、天国から見守っていると伝えて」。家を失った人、家族を失った人、避難所でなくなった老人。この天災による被害額は数十兆円ともいわれ、更に心の痛手を合わせるとどれだけの被害だろう。
世界中に連日トップニュースとして報道されると、誰の心にも助けたいという気持ちが芽生え、私はタイトルの「徳不孤必有鄰(徳孤=とくこ=ならず必ず隣=となり=あり)」を思いました。意味は、徳のある人は孤立することはない。必ずその徳を慕って集ってくる人がいるということ。日本に寄せられる世界中からの支援に、日本は徳のある人たちの国だと確信しました。だから、世界中の人が助けようと立ち上がったのです。

母国台湾では、3月18日に政府、慈善団体、全テレビ局共同で、CMなしの4時間半募金ライブを開催。大統領夫妻も受付電話を担当するという異例の企画に誰もが驚き、喜んで協力しました。「大きな愛で、積極的に」と呼びかけた募金総額は57億円。「お金も大事だけれど、愛と勇気、困難を乗り越える力を送りたい」「台湾地震、水害の時、日本の救援隊はどこよりも早く駆けつけてくれた。被害地に送られた向日葵(ひまわり)は、太陽に向かって毎年大きく育ち私たちを勇気付けてくれた。その花を今度は日本に送りたい」心が一つになるというのは、何と素晴らしく、大きな力を生むことだろう。

(5月21日号に続く)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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