集夢計画80「平和計画、人道芸術2」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第85回

「Happy Bunny」高さ2メートル、幅40センチ、メトロカードの十二支のウサギ。平和の笑顔が戻るまで頑張ろう!(写真編集:Tomoe Lin)

「Happy Bunny」高さ2メートル、幅40センチ、メトロカードの十二支のウサギ。平和の笑顔が戻るまで頑張ろう!(写真編集:Tomoe Lin)

平和を目指す行動アート「平和計画、人道芸術」で、ウクライナ人アーティストをニューヨークに招聘することを前回のコラム=5月21日号掲載=で紹介しました。アーティストの選考段階で、60歳以下の男性は招聘でも国外に出るのは困難で、3人の女性アーティストの来米が決定。しかし、その女性たちと1カ月前から連絡が取れなくなってしまいました。最後のメールは、「大変なことになった、食べ物もない、石けんも買えない、何とかしてアメリカに行きたい、助けてください」というもの。

彼女たちは無事だろうか? 現状が分からなくては動きようがないので、ウクライナに近いヨーロッパまで行ってみることにしました。世界中にメンバーを持つSTUF United Fund(Share, Trust, Unity, and Family)というNGOがあり、2月に戦争が勃発して以来、支援を行っています。これまでに2回、コンテナいっぱいの生活用品をウクライナに送り、3回目となる今回は救急車を送るために担当者が現地入りするというので、私も同行させてもらうことになりました。ウクライナに入れるかは分かりませんが、近くまで行けばもっと詳しい状況が見えるはず。

「千里之行始於足下(千里の道も一歩からの語源である老子の言葉)」。ウクライナに向けて第一歩を踏み出し、「平和計画、人道芸術」の支援を広めるため、たくさんの人に会いたいと思います。愛と平和のシリーズ作品を作り続けて30年以上、この企画は、戦争が終わったウクライナの地に「平和芸術公園」を作ることをゴールにしたい。「萬丈高樓平地起(どんな高い建物も地面から築きあげるもの)」。高く険しい道のりの基礎固めとなるこの旅。連絡が取れなくなった女性アーティストを含め、戦渦に巻き込まれている人々の苦しみを思い、一日も早い終戦、そして世界平和を、希望をもって呼び掛け続けます。

(次回は9月17日号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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