〈コラム〉タイチ不動産「不動産と住まい事情あれこれ」第99回

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アパートの敷金を取り戻せ
最良の方法は良いテナントであること

ニューヨークもやっと春めいてきて桜の花が咲いています。新入学や就職や転職でアパート捜しが本格化する季節です。そこで頭の痛いのは入居の際に必要となる敷金です。ニューヨークでは通常1カ月から数カ月分の家賃をSecurity depositとして大家に支払わなければいけません。ただでさえ出費の多い転居時に頭の痛いことです。ただ日本の商習慣とは違い、ニューヨークではこの敷金を退去時に全額取り戻すことができます。

気に入ったアパートが見つかったら必ず契約時に大家と一緒にお部屋の最終インスペクションを行ってください。壁や床に傷や損傷が無いか、冷蔵庫やガスレンジが正常に作動しているか、水周りに漏れは無いかなどをチェックしてください。もし異常があれば必ず写真を撮って記録を残し大家と情報を共有します。もし入居後や退去時に大家と問題が起きた際のあなたのプロテクションとなります。

敷金を大家に全額返却させることは簡単なことではありませんが、最良の方法はあなたが良いテナントであることです。以下の点に注意を払ってください。
・契約書の条件に従ってお部屋を使用する
・毎月遅延無く家賃を支払う
・他のテナントに騒音などの迷惑を及ぼさない
・退去の際に事前に家主に十分な注意を与える
・最後月の家賃も支払う
・最後にお部屋を破損無く清潔に保つ

もし浴室の壁の色を自分の好みに塗り替えたとしたら退出時には元通りの色に塗り直さなければいけません。絵を掛けるために開けた壁の大きな穴にはパテを塗りましょう。備え付けの電気器具などが通常の使用で故障した場合は速やかに大家に連絡をして修理を依頼します。台所の汚れや浴室の水垢などは退出時にプロに清掃を依頼することも選択肢でしょう。お部屋や郵便受けの鍵はちゃんとそろえて大家に返還しましょう。
通常の摩耗とは何でしょうか?

テナントには退出時にお部屋の“原状復帰義務”があります。もしテナントがそれを怠れば大家が預かっている敷金を原資としてお部屋を原状復帰させるという理屈です。ただ物質は使用すれば必ず磨耗します。そこで賃貸マーケットで使われる言葉に“Normal wear and tear”(通常の磨耗)があります。平常の利用で発生したお部屋の使用感はテナントの責任ではないという考え方です。

もしそれでも敷金を返してくれない理不尽な大家と出会った時にはSmall claims courtで対決することとなります。
(タイチ不動産 茂古沼孝)
(次回は6月第3週号掲載)

記事提供:タイチ不動産
【住所】228 E 45th St. Suite 1800, NYC
【TEL】212-983-7000
【ウェブ】www.taichirealty.com
短期アパート:www.thevillagehouse.com

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