筋肉はどうしてまた硬くなるの? マッサージが効かない理由

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解剖学の知識から「体のナゾ」を解く理学療法士(2)

瓜阪美穂「理学療法士が教えます」身体が痛い本当の理由【第25回】

理学療法士のお仕事を、実例を基にご説明するシリーズ2回目です。首の痛みで、来院したAさん。肩関節の硬さによってゴルフのスウィングで首に負担が掛かっていたことが分かりました。今回はその肩関節が硬くなってしまった原因のお話です。

本来、ゴルフのフォロースルーをする時は腰や背骨を使って回転を行うのですが、Aさんは胴体の回転が足りなかったために肩をはずすようにして行っていました。

肩の裏はさまざまな物質で構成されています。筋肉はもちろん、そこに栄養を与えている動脈、その他に静脈、神経などがあります。Aさんの場合、スウィングによって負担が掛かっていたのは肩甲骨の動脈でした。筋肉が損傷しても、肩が使えなくなるだけですが、動脈が破れると命にかかわります。そのため、動脈に負担が掛かる時は脳は必ず守るために筋肉を収縮させます。Aさんの肩関節は肩甲骨の動脈を守るために硬くなってしまったの です。

この肩関節の硬直にAさんも気づいており、マッサージに行きました。するとマッサージ直後は気持ちが良いのですが、しばらくすると再び身体が硬くなってしまいます。これは「せっかく筋肉を硬めて動脈を守っていたのに、柔らかくされてしまうと守ることができない」と筋肉が覚えてしまっているために起こることです。そこで動脈に影響を与えるように手業で治療し、動脈を守ろうと固める癖となってしまった筋肉に「硬めなくてももう大丈夫」という情報を与えてリラックスさせます。

この治療により肩が動くようになるので首への負担が無くなり、首の痛みを解決します。次回は肩に負担を掛けずに胴体の回転を向上させるお話です。

瓜阪美穂〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ)  理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/

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