人手不足(44)
「HR人事マネジメント Q&A」第56回
HRMパートナーズ社 人事労務管理コンサルタント
社長 上田 宗朗
前回(1月24日掲載)記事でも取り上げましたが、ここ直近の11月失業率が4・6%、12月失業率が4・4%。依然として低い数値ではあるものの一般人からすれば不安は募ります。何故なら55歳以上および65歳以上の就労人口がほぼ倍増しており、この原因の大半がリタイアしたくてもできない経済的理由からだと推察できますし、一方で次代の担い手である若年層の就労人口が過去30年間ほとんど増えていないことも不安要素と映ります。
そして続く今年1月の失業率は僅かに下がり、4・3%。都市部の雇用者数増加は専門家達の予想を遥かに上回ったようですが、これは専ら医療業界と社会福祉業界の雇用増に限られたものであり、全体の雇用の伸びについては引き続き懸念された状況のままです。
もう一つ、2月13日にBLS米労働統計局が発表した1月の消費者物価指数は前年比2・4%上昇、これは昨年12月の2・7%を下回る水準でありこのインフレ緩和により一息つけたものの総体的に見れば雇用主達は賃金上昇圧力に今後も苦しんでいかなばならないとの事実が突き付けられています。例えば従業員ベネフィット、高コスト化とりわけ医療費の構造的上昇という環境下では自社のグループ健康保険料を抑制することは極めて困難な状態にあるにもかかわらず今ではこれとは別に(他社より)秀逸したベネフィット、一例を挙げれば奨学金返済支援や学費補助などもアピールしていくことも考えなければならないですし、例えば給与、毎年ちょっとずつ上げて行くだけでも大変なのに従業員募集や昇進昇格の際もより高額をオファーしなければならないとの圧力もあり続けます。
ここで冒頭に立ち返り、失業率…「仕事を探している人」の割合で測りますと、昨年11月〜12月時点の若年失業率(16〜24歳)は凡そ10・5%前後と推計されますが、一方でニート率…「就業も就学も職業訓練もしていない状態」の割合で測りますと、ILO国際労働機関の分析では若年層の凡そ11〜13%程度と推計され、求職活動すらしていず失業率に含まれない人を含むため広い意味での若年の非就業・非学習の実態を捉えています。
これが冒頭の若年層の就労人口が過去30年間ほとんど増えていないことや、経済的理由からリタイアしたくても辞められない55歳以上および65歳以上の就労人口がほぼ倍増している要因にも絡んでくるのだと推察でき、従って多くの企業が人員の採用ポリシーそのものを見直し或いは大転換させながら、延いては事業方針自体の見直しをも余儀なくされているのだと思います。

〈執筆者プロフィル〉うえだ・むねろう 富山県出身で拓殖大学政経学部卒。1988年に渡米後、すぐに人事業界に身を置き、99年初めより同社に在籍。これまで、米国ならびに日本の各地の商工会等で講演やセミナーを数多く行いつつ、米国中の日系企業に対しても人事・労務に絡んだ各種トレーニングの講師を務める。また各地の日系媒体にも記事を多く執筆する米国人事労務管理のエキスパート。