「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第148回
性別選択・産み分けとは?性別はどう決定されるか(1)
弊社設立の2003年から20年以上にわたり、我々は日本からの多くの方々の生殖医療のケースをお手伝いしているが、性別選択(産み分け)は永遠の課題であり、現在でも問い合わせが絶えない。
現在、性別を高い精度で選択する方法は、受精卵(胚)の生検を伴う着床前診断による方法のみが医学的に有効である。しかし、当方法による受精卵の性別選択は日本では認められていない。一方で、成功率や科学的根拠が限定的な各種『産み分け法』は民間レベルで提供されている。
また、米国での臨床試験下で実施されていたものの、2012年に最終的に市場から姿を消したMicroSortへの問い合わせも、日本から絶えない。これは、日本で、性別を高精度に選択できる技術である着床前診断が規制されている一方、確実性の低い産み分け法は比較的広く流通しているという、逆説的な状況を示していると言えよう。
では、上記の状況を踏まえて、そもそも性別選択、産み分けとは何か、そして性別はどのように決定されるのかを説明していきたい。
ヒト(人間)の染色体上の性は、通常、体細胞にある23対(46本)の染色体のうち、性染色体によって決定される。ヒトの23対の染色体のうち、22対が常染色体で、残り1対が性染色体である。女性の性染色体はXX、男性はXYである。
一方、「卵子」と「精子」は、それぞれ減数分裂によって半数の23本の染色体を持つ。卵子は22本の常染色体と性染色体Xの計23本、精子は22本の常染色体と性染色体XまたはYの計23本を持つ。受精すると、23本(卵子)+23本(精子)=46本となり、再びヒトの通常の染色体数に戻ることになる。
つまり、卵子が持つ性染色体はXであるため、受精する精子がXを持つかYを持つかによって、受精卵の染色体上の性が決定される。Xを持つ精子が受精すればXX、Yを持つ精子が受精すればXYとなる。
(次回=11月7日号=に続く)

【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。