〈コラム〉NY市の雇用市場に変化の兆し「売り手市場」から均衡へ

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人手不足(45)

「HR人事マネジメント Q&A」第57回
HRMパートナーズ社 人事労務管理コンサルタント
社長 上田 宗朗

 皆さま、お久しぶりです。本年3月14日掲載の記事以降はしばらくの間お休みしておりましたが、今月からまた当コラムを再開いたします。以後も引き続きよろしくお願いいたします。

さて、今から本題に入ると共に、普段は特定地域に偏らないよう努めているところを、再開を機に今回はニューヨーク都市圏に絞って記事を書いてみたいと思います。

今現在のニューヨーク都市圏の雇用情勢が如何なる状況にあるかといえば、雇用は比較的堅調に推移しているものの、採用(数)の勢いは明らかに鈍ってきている、となります。

ニューヨーク都市圏の失業率は、最新の確定値である本年6月は4.5%でした。前年の同月と比べれば0.3%低下してはいますが、ただし前月比でみれば0.2%上がっています。また、これをNYCだけに絞れば5.3%になります。

NYC単独の数値の方がニューヨーク都市圏よりやや高めなのは構造的なものといえますが、ただし安堵するなかれ、採用数は米国全体でみてもかなり落ちてきており、7月時点の非農業部門の雇用数は前月比23,000人も減少、また遡って、5月、6月の雇用増加数も合計で103,000人に下方修正されました。

ニューヨーク都市圏の求人件数を直近の4月・5月・6月でみると、758.5万件、753.7万件、735.9万件と推移してきており、穏やかに減少してきていることが見て取れます。これは失業者が増えてきたというより、企業が以前ほど積極的に人を採用しなくなっている……言い換えれば、企業の採用需要そのものが弱くなっている……雇用減速傾向にあるといえます。

翻って、解雇・レイオフ件数の方が横ばいであることが唯一ほっと胸を撫で下ろせる部分ではありますが、ただし、人々が転職・再就職したいと願っても、数年前とは打って変わって厳しくなっているのが実状です。このことから、雇う側からすれば、今後の採用において以前より候補者を選びやすくなってきたと言えるのではないかと考えます。

NY市は、採用数においては米国全体より比較的高いのが常ゆえ、民間部門、とりわけ金融、専門サービス、IT・情報、医療・教育などの分野は強い傾向が続くはず。3~5年前が完全な売り手市場だったとすれば、今年は売り手と買い手側がほぼ均衡し、職種によっては企業側有利になってきたとも考えられます。一方で、ともすれば企業同士で企業間によって人材を奪い合う熾烈な競争に突入していくことを意味するのかもしれません。(次回号に続く)

 

上田 宗朗

〈執筆者プロフィル〉うえだ・むねろう  富山県出身で拓殖大学政経学部卒。1988年に渡米後、すぐに人事業界に身を置き、99年初めより同社に在籍。これまで、米国ならびに日本の各地の商工会等で講演やセミナーを数多く行いつつ、米国中の日系企業に対しても人事・労務に絡んだ各種トレーニングの講師を務める。また各地の日系媒体にも記事を多く執筆する米国人事労務管理のエキスパート。

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