「着物業界の間口を世界へ広げる」Hiromi AsaiがNYFW期間中に展示会を開催

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縮小気味の着物業界を新しい切り口で捉えなおす

     HIROMI ASAI Collection 2017のキーカラー「Blue」を基調としたスーツ

2016年2月、米クラウドファンディングサービス「キックスターター」で支援を募り、6万ドル(約◎●円)を超える資金調達に成功を収め、ファッションコレクション史上初めてクラウドファンディングを利用しニューヨークコレクションへ公式出展を果たした「Hiromi Asai (ヒロミ・アサイ)」。史上初ということもあり、業界内外から注目された同コレクションが話題になったことは記憶に新しい。

あれから一年。前回のコレクションとは打って変わり、着物そのままの形で見せるスタイルではなく、“より消費者に馴染みやすいように”と着物に使用される生地を「紳士服」に落とし込んだ「Hiromi Asai 2017 メンズコレクション」が、ニューヨークコレクション期間中の2017年1月25日から2月17日まで、同地ショールームにて展示されている。


着物は形状か、生地か

          裏地にこだわったという京都の友禅染で仕上げたスーツ

デザイナーの浅井広海氏は、着物の定義についてこう語る。「着物の捉え方って二種類だと思うんです。形状か、それとも生地なのか。私は後者だと思っていて。形状が着物の形であれば、例えばポリエステルやベトナムの生地などを使っていいとか、そういうわけじゃなくて。着物は、生地そのものが着物だと思うので。今回のコレクションも着物に使用する生地をスーツに落としこんだのですが、そうすることによって、もっと着物の間口を広げられたら、色々なチャンスが来るんじゃないかなって。」


文化を押し付けるのでは意味がない

「着物という日本の伝統的なものを海外に広めるにあたって、広め方にはとても注意しています。」

左から:柴田織物代表の柴田祐史(シバタ・ユウジ)さん、HIROMI ASAI デザイナーの浅井広海さん、創作工房糸あそび企画の山本徹(ヤマモト・トオル)さん、小林染工房代表の小林ともひささん

これらのスーツを制作する為には、ものによっては1か月に2着しか作れない程に時間を要する。その制作過程や生産ストーリーを、着物を知る最初の入り口として使用しないように心掛けているそう。一着一着にどれほど手間が加えられているのか知っているからこそ、一人でも多くの人にストーリーを伝えたい。その気持ちをぐっとこらえて、まずはプロダクトそのものを見せることに努める。

                柿渋から作られた絹糸を使用したジャケット。絹糸の制作に2年を要したというこだわりの一着。

「海外の人に、ただ文化を押し付けるのは良くない。何かの教育番組みたいになってしまったら、消費者は離れて行ってしまうから。まずは、プロダクトそのものを見て”かっこいい”とか”素敵”とか思ってもらうことが重要で。そこからストーリーを知ってもらうようにしています。」

本当に良いものだからこそ、純粋に服そのものを見て、如何に “着てみたい” と思わせられるかが間口を広げる一番のカギである。

 


 

【HIROMI ASAI 2017 MEN’S COLLECTION – BLUE -】

All made by Kimono Textiles

ニューヨークショールーム (プレス・バイヤー向け)

期間:2017年1月25日〜2月17日

http://www.hiromiasainy.com (HIROMI ASAI ホームページ)

https://youtu.be/umQApCb8Qn4 (HIROMI ASAI MENS COLLECTION 17 動画)

https://www.instagram.com/hiromi.asai/ (HIROMI ASAI Instagram ページ)

https://www.facebook.com/modeandclassic/ (HIROMI ASAI Facebook ページ)

※場所、時間等の詳細は info@hiromiasainy.com まで問い合わせを。

 


【プロフィール】

日置愛(ひおきあい)

ニューヨークビズ!新米駆け出しライター。週末の寂しさを埋める為、ファッションストリートスナップサイトをひそかに運営中。www.framenewyork.com

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