古内東子(2)

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NYは歌詞の世界に浸りながら歌うことができる場所

「ガチ!」BOUT.81

 

恋愛をテーマにした曲で、女性ファンから圧倒的な支持を得ているシンガーソングライター、古内東子さん。先日、イーストビレッジのジョーズ・パブで単独ライブで行なった。ニューヨークでのライブは、デビュー15周年を記念した昨年に続き、2度目。自身にとっても特別な街だというニューヨークでのライブについてお話を伺った。(インタビュー・9月17日)(聞き手・高橋克明)

 

NY・ジョーズ・パブで2年ぶりライブ

ジョーズ・パブでのライブは2年ぶり2回目です。前回とお気持ちは違いますか。

古内 やっぱり1回目とは随分気持ちが違いますね。前回はまったく未体験の緊張というか、分からないものに対する怖さがあったんですけど、今回は想像がつくという意味では、少しやりやすいかもしれないです。でも余裕はまったくないんですけど。

前回のライブはご自身のなかでも特別なキャリアになったとお聞きしました。

古内 あれはすごく、“チャレンジした”という実感がありましたね。今までは、その時その時、目の前にあることをやってきた感じなんですけど、あのライブに関してだけは、何か自分からやりたいって思って、自分からチャレンジしたっていう思いですね。

いよいよ明後日がライブ当日です。どういうお気持ちですか。

古内 前回はジョーズ・パブでやること自体が目的だったので、今回はちゃんと来てもらった方に「感動」して帰ってもらいたいなって欲が出てきてます。自分の手でいいライブにしたいなって。

前回インタビューさせていただいた時は、公演前にジョーズ・パブに対しての特別な思いを聞かせていただきました。実際にそのステージを経験されて、感想はいかがですか。

古内 やっぱり、ピアノの音がすごくいいんですよ。古いんですけど、何かいい音がして。なので自分でこう、より歌詞の世界に浸りながら歌うことができるんですね。そこは今回もまた楽しみなんですね。

ヘンな質問ですが、ステージの上で歌われてる時って歌手の方っていつも何を考えてるんでしょう。

古内 人それぞれだと思うんですけど(笑)、一番いい状態はその歌詞を、その時に感じながら、紡ぎながら、歌ってる状態だと思うんです。私の歌ってどっちかって言うと小説っぽいところがあって、それを心でもう一度読みながら歌う。なかなか100パーセントそんなふうに浸ることは難しいんですけど。それが理想ですね。

古内さんは、特に同性から「恋愛の神様」と言われ圧倒的な支持を得ていますが。

古内 結果、独身ですからね(笑)。神様ってねぇ~みたいな。ただ、私もいち女性として曲を書いているので共感というか、一番近いところで感じてもらえているのかなとは思いますね。

最後に、読者にメッセージをいただけますでしょうか。

古内 高校生の時に一度留学でアメリカに来ているんですけど、今となってはその時の勇気は全くなくって、やっぱり大人になるたび、海外に暮らすことってすごく怖いなって思うんですよね。だから留学にせよ、働くにせよ、ここで暮らされるっていうことは本当にすごいなぁ、えらいなぁって。それだけで、私はすごく応援したいなって思います。

古内東子(ふるうち とうこ)

職業:シンガーソングライター

1972年生まれ、東京都出身。1993年、「はやくいそいで」でデビュー。都会的なサウンドによるラブソングを一貫して発表し続け、高い評価を獲得している。これまでに14枚のオリジナル・アルバムをリリース。

公式サイト:www.tokofuruuchi.net

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2010年10月9日号掲載)

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