〈コラム〉人口知能との共存

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永野・森田公認会計士事務所 日下武「ビジネスのツボ」 第90回

この間、ある新聞を読んでいると驚く記事に出会いました。2017年頃に中高生を中心として2万5000人に実施された読解力テストの結果です。皆さんは以下の二つの文章を読んで、同じ意味と思うでしょうか。

「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。」
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。」

回答は「二つの文章は違う意味」です。ところが、43%の中学生、そして28%の高校生が同じと回答したそうです。これはほんの一例に過ぎませんが、子供たちの読解力が落ちているようです。この調査を行った国立情報学研究所の新井教授は「読解力が不十分だと社会生活を送る上でも大きな影響が出る」と懸念しています。

それではなぜ、子供たちの読解力が落ちているのでしょうか。スマートフォンを見過ぎて勉強する時間が減っているからでしょうか。調査の結果、勉強時間と読解力にはあまり関係性はなかったようです。ただ経済的に余裕がなく、学用品などの就学援助を受けている子供の割合が多い学校の正答率が低いことがわかりました。

同教授は、情報処理の能力が急速に向上している人口知能のことを取り上げて、「将来、仕事を奪われないようにするためにも子供たちの読解力を底上げに繋がる支援が必要だ」と話しています。

人工知能に奪われる仕事といえば、私の仕事のひとつである税務申告代行者も取り上げられています。オックスフォード大学のフレイ博士たちは発表した論文で、702の仕事に対して20年以内に人工知能に仕事を奪われる可能性が高い仕事と低い仕事のそれぞれトップ30を挙げました。その論文によると税務申告代行者は人工知能に奪われる仕事8位で、20年以内に98%以上の確率で人工知能に奪われるようです。

それでは、人口知能に奪われない仕事とはどのようなものでしょうか。それは人間の心に関わるカウンセラーや心理学者、そして教師や医師など人とのコミュニケーションが大切な仕事が含まれています。人工知能が発達すると人間がする仕事はなくなってしまうと思いがちですが、人工知能にも苦手な分野はあるようです。

人工知能が得意な分野は人工知能に任せ、心のコミュニケーションなど人間性が大切な仕事は人間がスキルを向上させるなど、人工知能との共存ができれば、これからの進歩につながると思います。これから人間のスキルを上げる子供たちの読解力を含めた教育は大切です。

(次回は9月第2週号掲載)

business-kusaka-takeshi〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。

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