〈コラム〉導院整体センター、鈴木規正「心身整体道場」第22回

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「エジプトでの奇跡」アルハンブレラ!!!

13-1207Cairo, Egypt

エジプトの街角

先週、エジプトのカイロに整体治療に行きました。主な目的は、医者から見放された数人の患者を施術をすること、現地のカイロプラクターに整体を教えることでした。噂を聞きつけた人達が集まり、結果的には40人以上を施術することになりました。
カイロ市内。鳴り渡るコーランを聴きながらの施術は、イスラム宗教文化圏ならではの新鮮な経験でした。自ら作り出した環境に支配される人間とそこでの人生。健康とは「身体と心(意識)が、環境の支配を乗り越えることだ」とつくづく感じました。
ハッサン氏。空調設計技術者で67歳。聖書に登場するような風体の男性です。30年前に交通事故で入院して以来、毎日腰痛に苛まれ、夜も寝られず、歩行困難、自宅で椅子に座りきりの人生。長年の通院で医者も自分自身も諦め、周囲の家族の介護と祈りだけが救いであった人。
彼は奥さんに連れられ、いつもの様に杖2本に身をかぶせながら、重い体を揺さぶり仮施術所に登場しました。3人がかりで、施術台(特注で制作した)に載せ、通訳を介しながら、診察しました。
“フィアラム?”(ここ、痛いですか?)
カイロの人達に共通する問題は、身体がものすごく硬直していることです。筋肉や靭帯が身体を硬くさせ、ツッパった筋肉が身体の骨格を捻じ曲げ、関節が硬直して可動性が無くなっています。さらに食べ過ぎと運動不足で足腰が弱く、上半身を支えるのが困難な状態でした。長年の骨盤転位が腰椎を捻転・圧迫しており、坐骨神経痛やヘルニアを形成していて、体中の硬直筋肉や靭帯が運動稼働を失わせていました。さらに悪い条件は、外の環境が歩行者を寄せ付けない状態で、人々は外出する意欲が無くなっている事でした。
街に出て気が付いた事は道路に信号機が全くない事。車が溢れ、途切れなく猛スピードでわれ先に走り回る。歩道には自動車が無断駐車され、歩く場所がないので、歩行者は車道で走る車に追い回されながら歩くことになります。
誰もが歩かない・運動しない生活スタイルがあり、ストレスによる筋肉の硬直、骨格のズレは、腰痛が起きやすい環境です。事故などで一旦歩くことが出来なくなると、退院後は家に閉じこもり、食べ過ぎ、体重が増え、ズレた骨盤や骨格に負担がかかり慢性腰痛になって、ズレたまま足腰が弱り歩く気力がなくなる。
これらの公共投資の立ち遅れは、経済発展途上国で、汚職や腐敗した政治をする国に特徴的にみられます。
ハッサン氏は初回施術後、腰痛は無くなり、杖1本で歩けるようになりました。さらに2度目は長い杖に変え、身体が伸びシャキッとした姿勢になり、3回目の施術後はフラフラながらも杖なしで歩けるようになりました。
自分としてはいつもの通り施術にしたまででしたが、家族や親類から“奇跡だ!”と讃えられ、多くの人が押し寄せ、もてなしを受け、悪い気はしませんでした。
(次回は2月第1週号掲載)

Nori at NYGoCenter.〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。

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