〈コラム〉導院整体センター、鈴木規正「心身整体道場」第17回

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再発を繰り返す頑固な片頭痛
整体施術で痛みを根本から解消

病気を根治するために重要なのは、痛みの原因を見つけること。原因から治さないと、また直ぐにズレが戻ってきてしまいます。病院やカイロ、鍼に何回か通院しても治らないのはそのためです。慢性「片頭痛」の方にみられる典型的な症状は、「骨格バランス(頸椎と肩のズレ)歪み、さらには骨盤のズレが根本の原因です。最近来院されたC子さんの実例に基づき説明します。
C子さん(企業で総務・経理を担当する30代半ば/日本人女性)。長時間コンピューターに向かう生活を続けているうち、片頭痛に悩まされるようになった。病院に行ったり、鍼、指圧、薬などさまざまな治療法を試したが、一時的に良くなるだけで、しばらくするとまたずきずき痛み出す。以前、整体治療で片頭痛が治った経験があったため当院を訪れた。
「骨格のアンバランス(肩と首の位置のズレ)があると、その周辺の筋肉や靭帯がズレを元に戻そうとして突っ張(頑張)ります。慢性的な肩凝りや筋肉の硬直は、こうした骨格のズレが原因です。
触診の結果、首(頸椎)や肩(両肩のバランス)だけでなく、耳の後ろにある側頭骨(頭の骨の一部)もズレていた。突っ張った筋肉や靭帯が、首の神経や血管を圧迫するため、血液(心臓から酸素を含んだ血)の循環が悪くなる。すると、頭への酸素供給が減り、結果がずきずきと痛み出すことになります。そこで、整体で体全体の骨格のズレや歪みを元に戻して筋肉や靭帯の突っ張りを取り除くために1週間に1回、合計3回の施術を行った。
1回目はまず、体全体の筋肉と靭帯を指圧で「緩めた」。首や肩などに凝りがある人は、体全体の筋肉が突っ張っているからだ。このクライアントは、骨盤が大きく歪み、脊椎の彎曲、左右肩の位置転位、首(頸椎)の転位(これが側頭骨やあご関節症/ズレの原因)になっていたので、骨盤や脊椎の大きなズレを本来の位置に戻した。側頭骨のズレを戻した時点で、片頭痛はなくなった。
2回目の来院の時、すでに片頭痛はなく、顔色も良くなっていた。指圧を行って再び骨盤が正しい位置にあることを確認し、今度は首のズレを中心に、指圧や手技、手の平で押す圧力を加えるなどの方法を用いて、丁寧に歪みの矯正を行った。3回目は、前回ズレを戻した首と肩の骨が正しい位置にあることを確かめてから、側頭骨のズレを手のひらで押すなどの手技を使って元の位置に戻し、一連の施術を終了した。
骨盤などの体の歪みが原因の片頭痛や、肩こり、腰痛の予防には、ストレッチがお勧め。3~5ポンド程度の軽めのダンベルを両手に持って上げ下げしたり、それを持ったままゆっくり肩を回して筋肉と靭帯を強化すると、骨もズレにくくなる。「ただし、ストレッチも筋トレも骨盤に歪みがない状態で、正しい姿勢で行うことが大切。骨がズレたまま筋トレを行うと筋肉を傷めて逆効果です」
(次回は8月第1週号掲載)

Nori at NYGoCenter.〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。

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